それを先輩たちに話すと「談志師匠も本当にすごかったぞ」って言われることが多くて、もっと見に行っておけば良かったと後悔しています。

 鶴瓶師匠の「鶴瓶噺」は落語じゃないですが、口先一本だけで2時間ぐらい喋る話芸。それにもずっと憧れがあって、前から見に行ってかっこいいなって思っていました。僕の単独ライブも落語じゃないから、落語には追いつかないんだけど、いつか自分のジャンルの話芸を見出したいですよね。しゃべりだけでお客さんの心と感情の起伏をコントロールしていく感じ。それを突き詰めたいっていう気持ちはあります。

 ビートたけしさんや明石家さんまさんも単独ライブや舞台をやってますし、関根勤さんも「クドい!」っていう公演を毎年やっています。そこはやっぱり見ておくべきステージだと僕は思います。爆笑問題さんも2ヶ月に一回はライブで新ネタをおろしているし、さまぁ~ずさんも、バナナマンも、アンガールズだって単独ライブをやっている。東京03なんかツアーで全国回って各地でお客も入っている。

 テレビで売れっ子と言われている芸人の舞台は、知らない面が見えて面白いですよ。テレビと違う笑いの取り方というか、この人ってこういう笑いを作る人なんだなっていう本質が一番よくわかると思います。元々はみんな舞台の出身なので。

 その舞台って、やっぱり面白いですよ。

 僕も毎年1回、単独ライブをやるんですが、今年も話芸って深いなーって改めて感じました。舞台をやるとミュージシャンがうらやましいなと思うことがあって、それはステージに出た瞬間からお客さんがノッてるから。もちろん音楽も創る作業は大変だと思うんですけど、音楽のライブってお客さんはそのアーティストの曲を聴きに来てるから、一曲目からお客さんのテンションが高いじゃないですか。バンドのメンバーが出てきて「わー!」ってなって、ボーカル出てきて「うわー!」ってなって。そこはうらやましい。

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