スキージャンプの高梨沙羅 (c)朝日新聞社
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66年ぶりの金メダル連覇を狙う羽生結弦 (c)朝日新聞社
66年ぶりの金メダル連覇を狙う羽生結弦 (c)朝日新聞社

 開幕まで5カ月を切った平昌五輪。2連覇を狙うフィギュアスケート羽生結弦を筆頭に日本選手のメダル獲得に期待がふくらむ中、気がかりな話が聞こえてきた。

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 北朝鮮の核実験とミサイル発射によって国際社会の緊張が高まる中、欧州で平昌五輪の参加の是非と問う声が挙がり始めている。

 事の発端はフランス・スポーツ相の「フランスチームを危険にさらすようなことは絶対にしない。安全が保障されないのであれば国にとどまる」との発言が報道されたこと。

 これを受け、オーストリアのメディアは同国オリンピック委員会の会長が「事態が悪化し、選手の安全が確保されないのであれば韓国には行かない。ただ、現時点でそうなることは想定していない」と述べたことを報じている。

 ドイツ五輪スポーツ連盟は、公式サイトで会長の「チームの安全が最優先だが、現時点で具体的な対応について協議するのは時期尚早」との談話を発表。同連盟の幹部会合における最重要議題が韓国の安全だったことも伝えた。

 日本でも、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恆和会長が「予定通り平昌五輪に選手を派遣する」との見解を出したことが報道されたばかり。

 こうした動きについて、平昌五輪を取材予定の大手メディア記者は「JOCが北朝鮮のことで揺れ動いたというわけではなく、日本の対応について外国から問い合わせがあったらしいですよ」と明かす。

 いずれも様子見のスタンスだが、日本に関して言えば五輪不参加の可能性が差し迫っているという感じはない。

 しかし、欧州では捉え方が少し違うようだ。ドイツのアルペン男子エースでメダル候補のフェリックス・ノイロイターは「まだ先のこと」と前置きしながらも、「このままの状況なら当然考えることになる。(国境から)80キロの場所だ。申し訳ないけれど、滑っている時にミサイルが頭上を飛んでいったらどうすればいいんだ? 狂気の沙汰だよ」と発言。スター選手の言葉だけに“参加断念を検討”と大きく取り上げられた。

 それぞれの反応には温度差も感じるが、背景には国の置かれた状況も関係するだろう。

 この十数年、日本では北朝鮮の動向が逐一報道され、私たちは喜び組や天才キッズの存在まで覚えた。「日本ごとき瞬時で焦土化」と脅しを受ける中でJアラートが鳴っても、大パニックに陥ることはない。

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