セ・リーグではまず阪神を推したい。外からの補強に頼っていた数年前とは違い、積極的に若手を起用するチームになっていることが大きい。特に、金本知憲監督の和製大砲を育てようという意識は高く、中谷将大と大山悠輔の二人に飛躍の兆しが見られることも清宮にとってはプラス要因だ。関西の熱狂的なファン、マスコミによるプレッシャーは大きいが、高校入学直後から注目を浴び続けてきた清宮であれば、それも乗り越えられるだろう。

 セ・リーグでおすすめしたいもう一球団はDeNAだ。同じく高卒の左のスラッガーで、侍ジャパンの四番にまで成長した筒香嘉智と身近でプレーできることが清宮にとっては何よりのプラスとなるはずだ。メジャー志向の強い筒香が数年後に移籍する可能性を考えると、その後釜としてもぴったり当てはまる。アレックス・ラミレス監督が重視している好球必打というチーム方針も清宮のプレースタイルにマッチするだろう。

 過去に大きく注目を集めた高校生スラッガーでは清原和博、松井秀喜、中田翔、筒香などが比較対象となる。清原は1年目、松井は2年目に中軸に定着したが、中田は4年、筒香は5年かかっている。データ分析が進み、弱点を徹底して突かれる現在のプロ野球では、清宮も中田や筒香と同様にしばらくは二軍暮らしが続く可能性も高い。注目のルーキーということで周囲からの雑音も多くなるはずだ。どの球団に入団することになっても、まずは清宮が自分を見失うことなく、スタイルを確立させることが成功への第一ステップとなる。

 会見で目標と語った王会長の868本塁打、そして将来的に見据えるメジャーリーグ挑戦へ向けて、清宮の次の舞台は果たしてどのチームになるのだろうか。(文・西尾典文)

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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