観光キャンペーン「涼・宮城の夏」をPRする壇蜜さん(右)と浦島太郎に扮する村井嘉浩知事 (c)朝日新聞社
観光キャンペーン「涼・宮城の夏」をPRする壇蜜さん(右)と浦島太郎に扮する村井嘉浩知事 (c)朝日新聞社

「性的」と批判され、8月26日に動画サイト「ユーチューブ」から削除されることが決まって以降、タレントの壇蜜が出演した宮城県の観光PR動画の再生数が、すごい勢いで伸びている。

 渦中の壇蜜は26日午後、仙台市を訪れ、今夏実施中の観光促進キャンペーン「涼・宮城(りょう・ぐうじょう)の夏」のスペシャルイベントに出席。宮城県の村井嘉浩知事とのトークショーにも出演する。

 動画は7月5日に配信を始めたが、宮城県議会の女性議員や女性団体などが配信停止を求めて抗議。

 動画が注目を集めると、再生回数は増加したが、批判の声を配慮し宮城県の村井知事が配信停止を発表した同月21日時点で約325万回まで増えた。配信停止発表後も、停止前に動画を見たい視聴者が動画投稿サイトを訪れており、25日午後4時時点で450万回を突破した。

 県や市町村、JR東日本仙台支社など官民でつくる仙台・宮城観光キャンペーン推進協議会の担当者は、「壇蜜さんの動画に関連して、過去制作した宮城県の紹介動画の再生数も約50倍伸びた」と相乗効果があったと明かす。

 同協議会が、7~9月の夏の期間にかけて実施する宮城県の観光促進キャンペーンは、2015年度に始まり、今年で3回目になったが、旅行会社に聞き取り調査したところ、「最大で前年比5割(観光客が)増えた旅行会社があった」(担当者)という。

 宮城県の民間企業に勤める男性は「デートでよく使われる、なじみの仙台城趾にある伊達政宗の騎馬像に壇蜜さんが寄り添い、政宗像が顔を赤らめるシーンが印象的」と動画が削除されることを惜しんだ。宮城県の担当者もこう言う。

「他のアンケート調査では約8割の人が動画配信を停止する必要がないという結果があります」

 しかし、新日本婦人の会宮城県本部の佐々木ゆきえ会長はPR動画の内容が「女性が殿に仕えるというストーリー性を感じた。男女平等の観点から抗議した」と語気を強める。

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