移転問題に限らず、憲法改正や原発問題など、立場によって意見の分かれる政治的課題が、選挙の争点となることは珍しくない。このような場合、有権者は何を手掛かりにして投票先を選べばいいのだろうか?

 佐藤さんは、ニュースを報道する立場から、「意見ではなく、ファクトに目を向ける視点を持つことも大切だ」と語る。

「同じ出来事でも、置かれた立場によって、意見が180度違うことはよくあります。どちらが正しいかというより、“何を優先するか”の違いなんですね。だから候補者を選ぶときも、まず争点になっている出来事を客観的に見て、自分なりに考える。その上で、いちばん共感できる候補者を探す。その努力抜きには選べないでしょう」

 一方で茂木さんは、AKB48のメンバーとして、ファンから“投票される側”の立場でもある。

「AKB48の選抜総選挙などの経験を通じて、何か変わった部分はありますか?」という津田さんの問いに、茂木さんは「全体のことを考えて行動するようになった」と答えた。

「私は14歳でAKB48に入ったのですが、最初はとにかく自分が目立つことばかり考えていました。配慮に欠けた言動で、炎上することもしばしばで……(笑)。でもあるとき、自分のそうした行動が、周りの人の評価にもつながることに気付いたんです。自分のせいで、私のファンの人まで悪く言われたり、AKB48全体のイメージを傷つけることもある。自分だけの問題では済まされないと思いました」

 アイドルでいられるのは、周りの人の支えがあってこそ。その考え方は、そのまま政治家にも通じることだと、津田さんは指摘する。

「結局、『誰に対して、どのような責任を負うのか』という意識の問題だと思います。ファンに生かされているのがアイドルだとすれば、アイドルはファンの期待を裏切らないように、責任を果たす義務がある。政治家と有権者の関係性も同じですよね。そうした信頼関係の上に、政治が成り立っているわけです」

 今後は、ライブやSNSに力を注いで、今以上に自分やAKB48グループのことをたくさんの人に知ってもらいたいと話す茂木さん。「自分一人ではなく、ファンの方やメンバーと一緒に成長していきたい」と、目を輝かせた。(文/澤田憲)

※「AKB48茂木忍が早大で津田大介に明かした“ブログ炎上”の過去」へつづく