野田氏の後任について報道では、岡田克也前代表、枝野幸男前幹事長、前原誠司元民主党代表らの名前が挙がるが、どれも出戻りで新鮮味ゼロ。有権者にアピールできないことは確実だ。しかし、他に挙がっている名前は、知名度も実績もなく、何より人柄に問題のある人が多い。そうなると、どんな人事をやってみても、党勢回復どころか、逆に有権者に絶望感を与える可能性すらある

●なし崩し民進党解党の現実味

 民進党では、これまで、何かあるたびに唱えられた「解党的出直し」はいつも不発だった。その最大の理由は、民進党が、バラバラの価値観、政策理念を持つ議員の集まりであるからだ。もちろん、この根源的な問題は、党役員人事によって解決することはできない。 

 そんな民進党に対する私の結論は、「解党的出直し」もできないなら、本当の解党しかないということだ。ただし、解党にも未来のない解党と未来につながる解党がある。

 このまま、中途半端な役員人事だけでお茶を濁そうとすれば、党勢回復は夢のまた夢。衆議院選挙が近づく恐怖感の中で、都議選前のように衆議院議員を中心に大量離党が生じる可能性が高い。ただ、その場合、受け皿になる政党が限られる。自民党は水膨れ状態で、ほとんどの選挙区が埋まっているので自民への合流は難しい。維新は、このところ党勢が衰え、大阪以外ではじり貧だ。唯一の望みは小池新党。年末までに設立される可能性が高いので、そこへの合流を目指した動きが活発化するだろう。

 しかし、国政進出する小池新党は、後述するとおり、タカ派色が強い政党になるだろう。民進党の反執行部派でハト派の議員たちは、小池新党ができても合流するのか迷う場面が出てくる。懸念されるのは、選挙のためだと割り切って、目をつぶって小池新党に合流しようとする動きが出てきていることである。

 一方、連合の支持がなければ生きて行けないと思っている議員を中心に、民進党にとどまる議員の中には引き続き様々な考えの議員が残るが、基本は野党共闘路線で進みつつ、この路線に反対する連合の顔色を窺うというこれまで通り、わけのわからない道を歩むことになるだろう。

次のページ