その結果は、民進党の社民党化である。安保法制やカジノ、原発などの重要政策についての争い、さらには連合との関係をめぐる対立も続き、思い切った政策軸を提示することもできず、ただじり貧の道を歩むというシナリオである。

 最終的には、解党という決断をしないまま、事実上の解党と同じ結果につながる未来の希望がない「なし崩し解党」。その現実味が非常に高まっていると言ってよいだろう。

 そういう事態になった場合、日本の政治は、統治能力も国民の支持も失った安倍政権ないし安倍後継政権が、実質的にはその補完勢力として登場する小池新党の助けを借りながら、政権運営を続けるという、悲劇的な事態に陥る。

 そこで、私は、民進党に次のような段取りで、未来につながる解党をすることを提案したい。一言で言えば、「“解党”へのホップ・ステップ・ジャンプ」である。

<1>ホップ
大幅人事刷新。蓮舫代表は暫定的に残るが、他の主要役員は全員更迭する。新役員には、政策議論ができて、しかも、人間的に問題のない人を置く。その際、政調会長がカギだ。政調会長を中心に、毎日朝から晩まで政策と戦略に関する論議を「オープンな場」で実施する。特に党内で意見の対立のある、安保、原発、カジノ、連合との関係、野党共闘に対する態度などについて、各議員が自らの考えを明らかにする。

<2>ステップ
議論を踏まえて、政調会長が、今後の政策の軸を提示し、これについての意見を各議員が表明する。

<3>ジャンプ
最終的にどういう政策軸で行くかを決定し、決定できなければ、解党する(解党できなくても、じり貧のまま事実上の解党となる)。

●「改革ハト派」の純化路線を採るための「踏み絵」

 7月3日の本コラム「小池首相誕生の秘策は小泉進次郎氏とのバトンタッチ」でも指摘した通り、東京都議選では、反安倍の巨大化したマグマは、民進党には見向きもせずに、都民ファーストの会に一気に流れた。小池百合子代表(当時)の仕掛けた「改革」劇場を支持した結果である。今後結成されると見込まれる小池新党も、「改革」を旗印にするだろうが、都議選では地方選であるがゆえにテーマとなりえなかった外交安保政策は安倍政権と同じ「タカ派」になる可能性が高い。しかし、「タカ派」の新党では、自民党の補完勢力になる懸念がある。その点を有権者がどう判断するかが、今後の政局のカギを握る。

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