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オリラジ中田敦彦が松本人志に仕掛けた情報戦の勝算

連載「道理で笑える ラリー遠田」

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バトルが勃発中の松本人志とオリラジ中田敦彦(右) (c)朝日新聞社

バトルが勃発中の松本人志とオリラジ中田敦彦(右) (c)朝日新聞社

 しかし、一方でお笑いには「既存の権威を疑い、権威をあざ笑う」という社会的な役割があるというのも事実だ。いまや松本が一種の権威になっているのだとすれば、それに対して下の世代から批判の目が向けられることもお笑いのあり方としては健全だと言える。

 そもそも、松本自身も、上の世代の芸人とぶつかりながらここまで成り上がってきた歴史がある。松本はまだ無名の若手芸人だった頃、漫才番組に出たときに、自分たちの漫才を大先輩である横山やすしに酷評されたことを根に持っていて、自身のエッセーの中で「殴っといたらよかった」(松本人志著『遺書』朝日新聞社)とまで書いている。

 そもそも、芸人とはそれぞれが自分の理想とする笑いを突き詰める一国一城の主であり、個人事業主のようなものである。先輩芸人と後輩芸人の関係は、一般企業における「上司と部下」のようなものとは違う。最終的にはそれぞれの実力で勝負が決まる世界であるし、そうあってほしいとも思う。

 ただ、今回の件に関して言えば、本当のところ何が起こっているかというのは、当事者の間でしか知りえないことだ。中田はお笑い界でも有数の策略家として知られる人物。彼は自分がラジオでこういう話をすれば、それがネットニュースなどで拡散されるということも想定しているはずだ。そう、これは中田が仕掛けた「情報戦」でもある。彼の中では、何らかの勝算があってあえて仕掛けている可能性が高い。

 日本のお笑い業界や日本のバラエティ番組というものについて、改めて人々が考えるためのきっかけを提供したという点では、茂木も中田もそれぞれの社会的な役目を果たしたと言えるのではないだろうか。(文/お笑い評論家・ラリー遠田)


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ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・ライター、お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)、『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)など著書多数。近著は『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)。http://owa-writer.com/

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