東南アジア料理のお店を経営するCさんは在住6年。「急な立ち退きと家賃の高騰、労務費の値上がりだけでも大変なのに査証も厳しくなって泣きたい。これでは個人経営の飲食店では就労許可がとれない」と嘆く。ちまたでは、飲食業界やヘアサロン業界の外国人就労者は就労許可がとりにくくなるのではとささやかれてもいる。

 一方で、このポイント制を歓迎する外国人駐在員もいる。年々上がる物価や深刻な環境汚染などで、中国の大都市に住みにくくなっていることもあり、Cランクになったら、外的要因で日本へ帰任できるので嬉しいという声もあるのだ。

 日本人就労者はどう対応しているのだろうか。多くの場合、対策として、3月のうちに就労資格をできるだけ前倒しで更新して、とりあえず1年間は中国で働けるようにして、様子見をする状態だ。今後の中国政府の運用を見ながら、次の対策を考えるということになる。

 ただ一部では、このポイント制は新規就労申請の際に導入されるもので、更新者は従来通りという見方もある。現に、4月1日以降、更新を申請した外国人就労者は、「今までと特に変わらなかった」と語る。これも中国ではよくある話で、「規定はあっても執行する人のさじ加減でどうとでもなりそう」というわけである。

 また、このポイント制を強硬に施行する中国に対して、悪く考える日本人も多いかもしれないが、こうした外国人就労者へのポイント制は、実は日本では5年前から導入されている。日本の場合は高度な人材を優遇するための制度としてつくられているが、年齢や学歴による評価は中国の制度そっくり。というより、中国の制度が日本を参考にしているとの見方もある。

 中国では昔から「上に政策あれば下に対策あり」と言われる。私の経験からも、この制度も一筋縄ではいかないと思われる。

 例えば、ポイント制の中には勤務地区の加点制もあり、「北京や上海勤務であれば0点」「四川省や黒竜江省など、東北や中部、西部であれば10点」といったようなものがある。書類上の勤務先を地方都市に置き、実際は北京や上海で働くといった対策も広まるかもしれない。

 制度自体を悲観するよりも、前触れもなく突然発表される政策や規定に柔軟に対応できることが、中国ビジネスでは大事なポイントといえる。

※注)フォーチュン500強/アメリカのフォーチュン誌が年1回発表しているランキングから