79、80年にセ・リーグ連覇、さらに2年連続日本一を達成した広島は、ショートは高橋慶彦で固定されていたが、セカンドには木下富雄、三村敏之、山崎隆造などが起用されていた。攻撃的な俊足のトップバッターだった高橋に、堅守で2番打者タイプの木下、三村などが、山本浩二、衣笠祥雄、水谷実雄らの強打者が並ぶ打線につなげた。

 リーグ連覇を達成したチームの二遊間で、最も印象深いのが2010、11年の荒木雅博と井端弘和の「アライバ」コンビだろう。この両年は、両者ともベテランの域に達しておりフル出場とはいかなかったが、2000年代中盤からAクラスの常連だった中日を、華麗な守備と渋い打撃で支えたのが、この2人だった。

 07年から09年と、12年から14年に二度の3連覇を達成した巨人には、坂本勇人という不動のショートがいたが、セカンドはレギュラー不在の様相が続いていた。10年と11年、14年と15年の二度、リーグ連覇を果たした福岡ソフトバンクも本多雄一や今宮健太など、攻守に長けた二遊間の選手はいたが、不動のコンビと呼ばれる存在はいなかった。

 昨季の菊池と田中のように、二遊間の選手がほぼフル出場で、打順も不動の1、2番ということは、長い球史でもレアケースと言える。菊池と田中の二遊間コンビの原型を作った野村謙二郎前監督は、二遊間の選手は「打球がいちばん飛ぶ場所」という理由で、守備のいい選手を重視したという。人工芝のスタジアムが本拠地だった「アライバ」コンビと比較して、内野天然芝で高い補殺数、併殺数を誇る菊池と田中は、中日の2人を超えたという声もある。打撃力も含めると、史上最強の二遊間コンビにもなり得る可能性も大いにありそうだ。

 今季も1番ショート・田中、2番セカンド・菊池という形が1年間、継続できれば、広島のリーグ連覇が現実に近づくことになる。