ただでさえ多くないサイドバックの候補が、有吉以後も、呪われたようにアクシデントに見舞われている。アルガルベ杯に参加した北川ひかるや、当初、今回のメンバーに入っていた鮫島彩(INAC神戸レオネッサ)、チャレンジリーグのバニーズ京都SCから抜擢された石井咲希もアウト。石井に代わって呼ばれた京川舞(I神戸)まで、合宿中のケガで招集3日後には姿を消した。こうした状況下では、サイドバックに高木ひかり(ノジマステラ神奈川相模原)と佐々木繭(マイナビ)が入り、谷と中村楓(アルビレックス新潟レディース)という最終ラインが考えられる。このユニットは、アルガルベ杯での約束事が共有され、ノルウェー戦で完封という結果も残している。

 佐々木と高木のふたりは、高倉監督が初年度から毎回のように声をかけてきた選手だ。佐々木は、武蔵丘短期大学シエンシアから、マイナビに加入して4年目。高倉監督がキーワードに挙げる「走力」という部分に長け、攻撃参加のタイミングも勘所がいい。スペイン戦では運動量を買われたか、ボランチ起用もされていたが、このチームではサイドのほうがより適性を活かせそうだ。もちろん、一列前でのプレーも可能。

 高木は2012年のヤングなでしこで、横山や猶本と一緒にプレー。超攻撃的なチームをディフェンス面でも支えた。その後、早稲田大学に進路をとったが、身を律して代表への意欲も衰えることなく、4年時のインカレMVPを手土産にノジマへ入団した。本質的にはセンターバックが合うように思えるが、サイドバックもこなせる。中央、サイド両方をこなせるのは、新潟の中村も同じ。こちらもスピードがあり、カバーリングもうまい。

 コスタリカ戦でゴールを守るのが誰かという点も興味を引く。代表実績では、山根恵里奈(ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)がリードし、セカンドに山下杏也加(日テレ)という順番だが、このノルウェー戦で出場していたのは3番手の池田咲紀子(浦和)だった。ビルドアップを含めた、総合力に優れたGKである。

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