U-20では「いじられキャラ」として、オフの時間帯に明るいムードを生みだした市瀬。現在、センターバックでプレーしているが、常盤木学園時代はボランチを務め、冷静に試合をコントロールしていた。高倉監督のチームでキャプテンを務める谷紗希(リヨン)は同校の先輩であり、ボランチ→センターバックという経歴も同じ。このふたりが並んでプレーする姿も、見てみたい。

 隅田、市瀬と一緒にU-20に参加し、シンデレラガールになったのが上野真実(愛媛FC)だ。前年度のアジア予選でエースを務めた小林里歌子(日テレ)の故障離脱に伴い、大会直前にメンバー入りすると5ゴールを量産。最終的には、今回、一緒に選ばれている籾木結花(日テレ)らとの大会得点王争いを制して、ゴールデンブーツを手にした。高校時代は鹿児島の神村学園でプレー。フォワードだけでなく、トップ下やサイドハーフなどでも起用された。吉永輝彦監督(当時)が課題に挙げていた精神面も年々、成長していった。卒業後、愛媛FCでアスリートとしての身体が作られ、持て余していた長身を武器に変えると、点取り屋としての才能が開花した。生まれは熊本。故郷に錦を飾りたい。

 愛媛FCで上野の2年先輩にあたる大矢歩も招集された。得点力が高いアタッカーだが、高倉監督は「外国人選手のように『個』で突破していける」部分を評価しているという。初選出、しかもなでしこリーグ2部からということで、ベテラン勢も彼女たちをどう活かせばいいのか戸惑う部分も少なくないはずだが、近いポジションでのセット選出は、こうした不利を幾分かでも埋めてくれる。

 初召集組以外で注目を集めるのは、フル代表に返り咲いた猶本光(浦和レッズレディース)だろうが、まずは確実に代表へ定着するため、一歩ずつ足下を固めていく段階と思える。このコスタリカ戦で、最大の注目ポイントはディフェンス陣の再編成がなるか、だ。前述したアルガルベ杯では、大会直前に有吉佐織が大ケガに見舞われた影響もあったか、守備の不安定さが目についた。高倉監督は、多彩な得点パターン構築とともに「(アルガルベ杯では)約束事を決めて臨んだが、足りない部分があると感じた。スライド、アプローチを含めてうまくいかなかった。ディフェンスの強度を上げていきたい」と語っている。

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