所属する浦和では平尾知佳、松本真未子らの後輩と激しいポジション争いを繰り広げている。「サッカーでは先輩も後輩もない。ふたりが自分より優れている部分は素直に勉強して」というポジティブな競争意識は代表向き。アルガルベ杯前の合宿では「(山根、山下の)次の3番手に入るための競争」(池田)を自覚して参加。この時点では平尾の後塵を拝したが、その後、体調を崩した平尾に代わって繰り上がり選出。ノルウェー戦で、なでしこジャパン初出場、初先発、初完封を記録した。その勢いを駆っての連続選出だろうから、抜擢の可能性は残る。

 対戦相手のコスタリカはFIFAランキングで30位(日本は6位)だが、2014年にU-17女子W杯を開催するなど、近年、女子サッカーに力を入れている。2年前の女子W杯カナダ大会にも出場し、スペイン、韓国と引き分け、ブラジルと1点差ゲームを演じた。アディショナルタイムまで決してゲームを投げないチー
ムで、その力は決して侮れない。高倉監督体制下最初のホームゲームで迎えるには、格好の対戦相手と言えるだろう。

 2年後の女子W杯フランス大会、3年後の東京五輪に向けてチーム内の競争は、まだ横一線に近い状態だ。11年前の岩清水のような「次はこの選手に任せられる」と誰もが認める新星が、今夜、本で輝きを放つことを期待したい。(文・西森彰)