大相撲九州場所。豪栄道(右)は突き落としで嘉風を破る=2016年11月15日 (c)朝日新聞社
大相撲九州場所。豪栄道(右)は突き落としで嘉風を破る=2016年11月15日 (c)朝日新聞社

 開催60周年を迎えた大相撲九州場所。大関豪栄道の初の綱取りと、関脇高安の大関取りの懸かる話題の場所が、早くも中日となり折り返し地点を迎えた。

 前半戦で波乱が起きたのは、6日目のこと。それまで全勝を維持していた豪栄道が、小結玉鷲に土俵際で突き落としをくらい、痛恨の黒星を喫した。くわえて同日の結びの一番では、遠藤が5回目の対戦にして、初めて横綱白鵬から白星を挙げる。休まず前に出て、わずか4秒、白鵬を一気に寄り切る目の覚めるような相撲だった。先の秋場所で13勝を挙げ、復調した様子の遠藤は、1横綱3大関を撃破して上位陣を攪乱させ、前半戦で優勝戦線に影響を与える活躍ぶりを見せたのだった。

 波乱の翌日、7日目の豪栄道は、巨漢魁聖に右を差されて追い込まれるも、右に左に相手を振り、休むことなく動き回った。見る者をヒヤリとさせながらも「巻き落とし」で辛勝した豪栄道は、「連敗しなかっただけで内容はよくない」と気を引き締める。しかし、今までに悪癖とされていた引きや叩き、苦し紛れの首投げは、全勝初優勝した先場所から影を潜めた。立ち合いが力強く、下半身をバタつかせずに前に前に攻める相撲に変化しているのだ。

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