「現在までに出版された主要な大和関連資料にはすべて目を通しました。乗組員の号令などは、元海上自衛隊のイージス艦艦長だった人物の監修を受けています。旧海軍の号令は海上自衛隊に継承されているためです。また、小型船舶免許を取得し、実際に大和が訓練を行った広島県沖を航行するということもやりました」

 神田技研は、研究者や戦中に大和に乗船していた旧海軍軍人などを招き、テストプレイを行っているが、そうしたプロフェッショナルたちの視点からも、「VR戦艦大和」の再現度は高い評価を得ているという。

 もう少しプレイ内容を紹介しよう。ヘッドセットをかけると、目の前には海。手前は波止場となっており、場面は陸(おか)の上から始まる。振り返れば、中央にドームがある赤いレンガ造りの建物――海軍兵学校校舎だ! この建物は“今”から75年後の現在でも現存しており、江田島の海上自衛隊第1術科学校に行けば“リアルな見学”が可能だ。

 この時点で興奮覚めやらぬのだが、目当ては大和だ。最初の場面から右手に見える埠頭にあるボートに乗り、瀬戸内海は安芸灘に停泊中の大和へと向かうこととなる。

 道中、右手には駆逐艦と思しき、小さいサイズの軍艦が見える。坊ノ岬沖で大和の最期を見届けた「雪風」だろうか。そう思うと心にぐっとくるものがある。そしてその奥には、徐々に大和の全貌が見えてくる。でかい。駆逐艦の4倍以上はある大きさだ。その後、プレイヤーはボートから大和に乗り込み、甲板から艦内各所を見学していくこととなる。

 間近に見る「46cm3連装砲」はやはり大きい。だがそれ以上に驚いたのは、この中に入れてしまうということだ。中に入ると、6人の乗組員が、パイプ管のような円筒に付いた双眼鏡のようなものをのぞいている。これは「測距儀」と呼ばれる、敵艦との距離を計測するための装置だ。大和の「測距儀」はこれまた史上最大級の大きさで、この筒の長さが横に15.5メートルもある。筒の両端には鏡がついており、これによって前からの光景を双眼鏡で見える仕組みになっている。さらに奥に進むと、砲弾の装填室となっていた。そこには九一式徹甲弾とみられる、白い外装で覆われた、人の身長ほどはある巨大な弾が装填されていた。

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