「淡路島のウニをいろいろな食べ方で味わってほしい」と話す料理長の藤見さん
「淡路島のウニをいろいろな食べ方で味わってほしい」と話す料理長の藤見さん
夢の「ウニ on ウニ」。まろやかで、口の中に入れるとすっと溶ける
夢の「ウニ on ウニ」。まろやかで、口の中に入れるとすっと溶ける
締めはウニ雑炊!想像以上のおいしさだ
締めはウニ雑炊!想像以上のおいしさだ
淡路島産のウニ。あえて腹側をみせた「逆さのウニ」状態で新鮮さをアピール
淡路島産のウニ。あえて腹側をみせた「逆さのウニ」状態で新鮮さをアピール

 生ウニで作った黄金スープに、ぷるぷるのウニをイン。口の中に入れると、まろやかな甘みとコクが広がる。これぞ夢の「ウニ on ウニ」。そんな魅惑的なひと品が、兵庫県の淡路島で味わえる。

 淡路島といえば、最近はタマネギが注目されているが、海の幸も忘れてはいけない。タイやサワラ、スズキ、タチウオなどはもちろん、ウニも取れるのである。特に、潮の流れが速く、プランクトンやミネラルが豊富な南あわじの海で、海藻をえさに育ったウニのおいしさは格別だという。

 そんな島のウニを心ゆくまで堪能できるのが、南あわじ市の観光施設、うずの丘大鳴門橋記念館内にある「絶景レストランうずの丘」だ。ここでは、ウニのスープで、新鮮な魚介をしゃぶしゃぶする「うずの丘海鮮うにしゃぶ」(時価で税抜3800円から)が食べられる。2016年10月に行ってみた。

 うにしゃぶは、黄金色のウニスープと生ウニ、島の新鮮な魚を刺した串6本、白ご飯、小鉢などで構成される。ウニの種類は季節によって変わり、6~10月は赤ウニ、10月~5月は黒ウニ(ムラサキウニ)を使う。どちらも素もぐり漁で取るそうだ。料理長の藤見泰之さん(42)によると、赤ウニは「大粒で濃厚」、黒ウニは「小粒ながらしっかりした味」とそれぞれに良さがあるという。

 ポイントは、なんといってもウニスープ。和風だしと練りウニに豆乳を混ぜ、さらに生ウニを溶かしこんだこだわりのスープは、そのまま飲んでもまろやかでおいしい。火を入れると、なんとも良い香りがする。島で取れた生ウニは、保存用のミョウバン水を使わずに塩水で洗って出荷するため、ほとんどくさみがないそうだ。

 スープがぐつぐつと煮えてきたら、魚の串を入れる。この日はタイとサワラ、スズキ。しゃぶしゃぶして食すと、あっさりとした中にもコクがある味わい。生ウニの食べ方はお好みで、そのまま食べても、ご飯に載せて「極上生うにめし」にしても、しゃぶしゃぶしても良いという。

 そして、時間の経過と共にスープは煮詰まり、どんどんコクが出てくる。あっさりから濃厚へ、味が変化していくのだ。最後は、スープにご飯や薬味を投入して「絶品うに雑炊」に。雑炊と侮るなかれ。スープとご飯との相性が絶妙で、タマネギではないが涙が出てしまう。最初に藤見さんから「雑炊の評価が高い」と聞いた時は半信半疑だったが、食べた後は、心の底から納得した。

 このクオリティーで3800円とは、お得だ。藤見さんによると、採算は度外視で、希少な赤ウニの時期は「もうけにならない」という。そんな逸品は、どのようにして生まれたのか。

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