4回4安打3失点と、先発の役割を果たすことができなかった前田。(写真:Getty Images)
4回4安打3失点と、先発の役割を果たすことができなかった前田。(写真:Getty Images)

 4被安打はすべて2ストライクに追い込んでから許したもの―――。そんな結果を振り返ると、現地時間10月15日、カブスとのナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)第1戦に先発したドジャースの前田健太の投球は余計に残念に思えてくる。

 初回、先頭のデクスター・ファウラーをカウント1-2としながら、4球目を中前打。続く2番のクリス・ブライアントにも1-2から左越えの適時二塁打を打たれ、打者2人であっという間に先制点を許してしまう。

 さらに2回裏にも先頭のジェーソン・ヘイワードに2-2から三塁打。7番のハビエル・バエスに1-2から中前にポトリと落ちるタイムリー二塁打を打たれ、その後本盗を決められ合計3点を失った。

「このシリーズは何の力にもなれなかった。次のシリーズでしっかり力になれるように頑張りたい」

 ナショナルズとの地区シリーズ第3戦で3回5安打、4失点で負け投手になった前田は、シリーズ勝利後にそう語っていた。

 この日のゲームには期するところがあっただろう。しかし、前田が序盤に失点した後、ドジャースは一度は追いついたものの、結局は4‐8で敗戦。4回4安打、3失点で降板した28歳の日本人ルーキーは、またしてもチームを助けることはできなかった。

 10日に行われたナショルズ戦に続き、今回のゲームでもツキに見放された感があったのも事実ではある。際どいコースをストライクに取ってもらえず、バエスの二塁打、本盗も不運だった。もっとも、前田が投げているボールにも力強さがなく、制球ももう一つだったことは否定できまい。

 バエスの適時打の場面まで、前戦から通じて2ストライクに追い込んだ後になんと13打数7安打。勝負にいった際のスライダー、真っすぐの制球が甘くなることが多く、打者に脅威を与えるに至っていない。

 もともと相手を圧倒する球威があるわけではない前田だが、制球力とうまさでメジャー1年目は結果を残してきた。しかし、コントロール(ストライクを投げる能力)、コマンド(狙ったコースに投げる能力)が乱れるとこのレベルでは厳しい。

次のページ