不調はこの日に限った話ではなく、直近の4試合で合計13回2/3を投げて21安打、自責点15。レギュラーシーズン最後の2試合を含め、4戦連続で5イニングを投げ切れていない。

「日本では200イニングを毎年投げてこれた。今年に関しては170イニングで終わっているので、そこまで疲労は感じていないです」

 10日のナショナルズ戦前にはそう述べてはいたが、日程、環境など様々なことが違うアメリカでの1年目なのだから、日本での実績は参考にならない。疲労の蓄積が投球内容に影響し始めていても不思議はないだろう。

 レギュラーシーズン中に103勝を挙げてメジャー最高勝率をマークし、世界一の大本命と目されているカブスとのナ・リーグ頂上決戦。“アメリカズチーム(全米から期待を浴びているチーム)”と称される強豪との対戦で、ドジャースは下馬評不利と見られている。初戦を落とした後で、特に今後は負けられない戦いが続く。正直、今の状態では今シリーズ中に前田に再び先発マウンドを任せるのは不安だろう。

 逆に言えば、ローテーション通りに中4日で第5戦に先発することになった場合、それは絶対に好投しなければいけない背水の登板になる。そのチャンスは巡ってくるのか。そして、若きタレントが敷き詰められたカブス打線を相手に、力を振り絞る気力が残っているかどうか。前田にとってのメジャー1年目が、まさに大詰めを迎えていることは間違いない。(文・杉浦大介)