そんなこんなで、注目度が急上昇しているタマネギ農家、濱口さんを直撃してみた。

「若い人たちの中で、まさか優勝するとは思わなかった。家族や友だちなど、投票してくれた皆さんのおかげです。大変感動しています」

 笑顔でこう話した濱口さん。9月30日に投票が締め切られ、コンテストの担当者から優勝の連絡を受けた時は、「うれしくて、夜はあんまり寝られなかった」という。息子や娘、孫など家族らも「おばあちゃんよかったなあ」と喜んでくれた。

 濱口さんは、南あわじ市の農家に生まれた。幼いころからタマネギを作る手伝いをし、21歳で市内の別の農家の夫と結婚した。30歳で夫を亡くし、息子や娘を育てながら、タマネギを栽培してきたという。現在も、家族に手伝ってもらいながら、タマネギや白菜、キャベツなどを作っている。

 コンテストに応募したのは、農作業の手伝いに来てくれている友人から勧められたからだ。なんとなく応募したところ、最終選考に残った。始めは家族に内緒にしていたが、いつの間にか知れわたってしまったようで、家族だけでなく、友人から友人へと投票してくれる人が増えていったという。腰を痛めて通っている病院の医師からも「毎日(票を)入れています」と励まされた。ある友人が道の駅に濱口さんのブロマイド付きのオニオンチップスを買いに行ったところ、売り切れだったとも聞かされた。

「みんなが協力してくれてありがたかった。だけど、優勝するなんて夢にも思わなかったです。これからも土づくりなどを頑張っておいしいタマネギを作っていきたい」(濱口さん)

 うずのくに南あわじによると、濱口さんの泣き顔は、17年春に発売を予定している新タマネギブランドのパッケージに採用されるという。タマネギで泣くコンテストだけに、タマネギを愛し、多くの人に届けている濱口さんが選ばれたのは感慨深い。体調を崩すこともあるというが、これからも元気で、おいしいタマネギを作っていってほしい。(ライター・南文枝)