35歳にして質の高い投球を見せ続ける岩隈久志。(写真:Getty Images)
35歳にして質の高い投球を見せ続ける岩隈久志。(写真:Getty Images)

 2016年は日本人投手の当たり年と言って良いのだろう。

 トミー・ジョン手術から復帰したダルビッシュ有(レンジャーズ 6勝5敗、防御率3.53)、ア・リーグで防御率のタイトルを争う田中将大(ヤンキース 14勝4敗、防御率3.07)、メジャー1年目ですでに16勝を挙げた前田健太(ドジャース 16勝10敗、防御率3.28)……そしてもう一人、マリナーズの先発ローテーションを支えてきた岩隈久志の活躍も忘れるべきではない。

 今季の岩隈は渡米3年目の2014年に挙げた15勝を上回り、すでにメジャー自己最多の16勝(12敗、防御率3.96)をマーク。野茂英雄(3度)、松坂大輔(2度)に続き、15勝以上を複数回達成した史上3人目の日本人投手となった。今季のマリナーズはシーズン終盤までワイルドカード争いに残り続けているが、その投手陣を支えたベテラン右腕の功績は大きい。

 岩隈についてメジャーの打者たちに意見を求めると大抵は絶賛が返ってくる。アストロズの正捕手、ジェイソン・カストロは「(岩隈は)もともと質の良い球を持っているというだけではなく、すべて丁寧にコントロールしてくる。例えカウントを悪くしても、甘いコースに投げてストライクを取りにいくようなことはしない。どんな状況でも、自分の投げたいボールを投げることができるピッチャー。思った通りの場所に投げ込む力があるから、捉えるのは極めて難しい」と語り、今季39本塁打のブルワーズの外野手、クリス・カーターも「ストレート、スプリッター、スライダーをすべて上手にコントロールしてくる丁寧なピッチャー。スプリッターの制球も見事で、ほとんどミスを犯さないことがとても印象的だった」と岩隈を評価する。

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