過去5年間で3度も14勝以上を挙げてきた投手ならそれも当然なのだろう。ただ……日米両方のメディアの間で、岩隈は基本的に“見過ごされてきた”ピッチャーというイメージがあるのも事実ではある。

 昨オフ、一時はドジャースとの3年4500万ドルの契約がまとまりかけるも、メディカルチェックの結果、破談になったというドタバタ劇があった。結局はマリナーズと1年1200万ドルで再契約(2017~18年のオプションは球団が持つ)するに至ったが、いくら複数のインセンティブが付与されているとはいえ、これまでの実績を考えれば1年契約は低評価としか言いようがない。

 過小評価の理由の1つは、注目度の低いマリナーズというチームに属しているからだろう。それと同時に、ケガが多く、フィジカル面で弱いという印象が付きまとっているのも大きいに違いない。毎年のようにシーズンのどこかで故障離脱するため、耐久力が重視されるメジャーにおいて、先発投手として最高級の評価が得られなかったのである。

 そういった意味で、4月12日に35歳になって臨んだ今シーズンの活躍の意味は大きい。大エースのフェリックス・ヘルナンデスですらも一時は故障離脱したなかで、1年を通じてローテーションを守り切った。防御率こそやや悪くとも、メジャーでは自己2度目の200イニング突破は目前。また、疲れが見えるはずのシーズン終盤に入っても、高齢投手が好内容の投球を続けていることは特筆に値する。

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