優勝へのマジックが1となり、「あと1つ」「M1」などと書かれたボードを掲げる広島ファン(c)朝日新聞社
優勝へのマジックが1となり、「あと1つ」「M1」などと書かれたボードを掲げる広島ファン(c)朝日新聞社

 カープファンの「歓喜の瞬間」が近づいている――プロ野球・広島カープは9月8日、セ・リーグ優勝へのマジックナンバーをついに「1」とした。きょう9日、広島は試合がなく、2位巨人ヤクルトに敗れると、25年ぶりのセ・リーグ制覇が決まる。

 本拠地・マツダスタジアムは、連日大勢の赤いユニホームに覆われ、さながら25年に1度の“ビッグウェーブ”ようだ。観客席では、ファンが縦列ごとに立って座ることで、その様子が波打って見える「ウエーブ」も現れた。6日の中日戦では、広島が5-0と大量リードした9回表の中日攻撃中にウエーブが起こり、スタンドが“波”を打った。

 これに対して、広島の菊池涼介選手は試合後「盛り上がっているのは分かるのですが、プレー中のウエーブはやめてください」と“自粛”を促す場面もみられた。確かに、マツダスタジアムの施設案内でも、ウエーブは禁止されている行為である。

 一方、ウエーブをしようにも座る席がなく、立ち続けて応援しているファンもいる。内野席付近やコンコースでは、連日“立ち見”が出るほどの盛況ぶりだ。

 もちろん内野席のチケットは席数分のみであり、本来“立ち見”は起こり得ない。だが、ビジター席のチケットでも内野自由席やコンコースに移動できてしまう球場の構造上、カープファンが相手チーム席のチケットを買い、内野席エリアに立って応援する現象も起こっている。それどころか、立ち見に疲れたのか、中にはビジター席で堂々とカープグッズを着けて応援しようとする“猛者”も現れている。

「カープファンが買い占めているから、ビジターの応援席はガラガラでしたよ。また、一部のカープファンがビジター席に侵入していました。もちろん全員とは言いませんが、優勝目前とはいえ、一部のカープファンのマナー違反は目に余ります」(広島在住、30代の中日ファン)

 カープファンの“進撃”はこれだけではない。それは広島戦とは関係ない球場でも「不思議な現象」が起こっている。

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