ただ忘れてならないのは、商談が水泡のように沸いては立ち消えるのが、移籍ビジネスの常であること。例えば、レスターのジェイミー・ヴァーディーを追っていたアーセナルの場合、契約前にイングランド代表FWが残留を決めたことで、移籍が実現しなかった。しかしながら、アーセナルの番記者によると、ほぼ同時進行でアトレティコ・マドリーのFWアントワーヌ・グリーズマンの動向にも注目していたという。こちらも、グリーズマンがEURO2016の期間中に同胞のアーセナルのアーセン・ヴェンゲル監督に断りの返事を入れ、移籍は消滅した。理由は「家族と一緒にスペインでの生活に満足しているから」(グリーズマン)。こうした過程を踏まえると、2人のプレースタイルに近いペレスを「補強ターゲット」としたことにも合点がいく。

 プレミアリーグの市場の閉幕時間は、イギリス時間の31日・23時──。監督、選手、そしてクラブと、様々な思惑が交錯しながら水面下での交渉が続くことだろう。(文・田嶋コウスケ)