伊藤美誠(右)ら年下のメンバーを経験と包容力でリードする福原愛(左)。(写真:Getty Images)
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 2大会連続のメダルを狙う日本卓球女子は団体戦の準々決勝を迎えた。相手は予想に反して、オランダを破ったオーストリア。この試合は、まず一番手の福原愛が流れを作った。伸び盛りとの評価が高い長身のソフィア・ポルカノワに対し、サーブが冴えわたった福原は、貫禄のストレート勝ちで弾みをつけた。とりわけ、相手を5点に抑えた1ゲーム目は、サーブポイントが100%で決まるという高い確率だ。2ゲーム目もロングサーブを多用する強気の戦術で主導権を握った。

 2番手でバトンを渡されたのは石川佳純。初戦敗退に終わったシングルスから気持ちを切り替えたという団体戦で、この日は五輪5大会出場の大ベテラン、リュウ・ジャと対戦した。やや硬さが見られた1ゲーム目は、フォア前に出したサーブが甘くなり相手に取られたが、続く2ゲーム目にはバック前のサーブに切り替え反撃に成功する。その後、再びフォア前のサーブを交えて、左利きの相手を翻弄した。ラリーでも得意のフォアハンドがさく裂し、リュウ・ジャをわずか4点に抑えた。そして、ゲームカウント3-1で勝利を収めた。

 サウスポーの石川は、もともと左利きの相手が苦手で、左利き対策として、このフォア前のサーブを磨いてきた。その経緯をよく知る元日本代表監督の近藤欽司氏は、「横回転のかかった巻き込むようなサーブで、左利きの相手のフォア側(外側)に逃げていきます。左利き選手の攻略にとても効果的です」と話す。

 さらに、石川はこれまた得意な3球目攻撃も巧みに決めて3、4ゲーム目も制した。その石川からバトンを受け取った、福原・伊藤美誠のダブルスは出足から好調だった。福原がチャンスボールを作り、攻撃力で勝る伊藤が決める基本戦術で1ゲーム目を先取。2ゲーム目は競った末に落としてしまったが、3ゲーム目に入ると再び1ゲーム目のパターンに戻り、序盤と終盤に5連続ポイントをあげるなどして、スコアを2-1とした。

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