「巨神兵」(左)と「パーティーロックアンセム」の対決
「巨神兵」(左)と「パーティーロックアンセム」の対決
「最も技術力が低い人賞」に輝いたアニポールきょうこさん
「最も技術力が低い人賞」に輝いたアニポールきょうこさん
「ヘボコン・ワールドチャンピオンシップ」の出場者のみなさん
「ヘボコン・ワールドチャンピオンシップ」の出場者のみなさん

 リオと甲子園で熱い戦いが繰り広げられている8月7日、東京ではロボットの戦いが繰り広げられていた。「ヘボコン・ワールドチャンピオンシップ」と銘打たれたこの大会は、技術力の低い人たちが作ったロボットを戦わせるという、何とも微妙な大会だ。登場するロボットはもれなく「ヘボい」のだが、それらには人を惹きつけるなんとも言えない魅力があった。

 「ヘボコン」はもともと、おもしろコラムを掲載するサイト「デイリーポータルZ」の中で約2年前に生まれた企画。技術力が低い人たちが手製のロボットを持ち寄り、相撲形式で対戦。トーナメント形式で戦い、一応相撲の勝敗で優勝ロボットを決めるが、実は目指すべきタイトルは優勝ではない。それ以上に重要なのが、観客の投票で決める「もっとも技術力が低かった人賞」だ。これが実質的なグランプリで、もっとも栄誉ある賞とされている。

 ヘボコンは第1回大会の後、国内のさまざまな都市で開催され、それぞれの地域で熱戦を展開。するとその熱は海外にも飛び火した。米国や香港、オーストラリアなど、25カ国以上で「The Crappy Robot Competition」(Crappyはヘボいの意)という名前で開催され、その回数は60回以上に上る。海外では英語ルールブックが配布され、基本ルールは統一されているという。

 世界的広がりをみせたヘボコンにとって集大成ともいえる大会が、今回行われた初の世界大会「ヘボコン・ワールドチャンピオンシップ」。国内のチームに加え、海外からのチーム、そして国内と海外のメンバーで構成された国際チームが出場する、インターナショナルな大会だ。

 大会当日、会場となった「東京カルチャーカルチャー(運営・ニフティ)」は多くの人でにぎわった。これまでも同会場では多くのイベントを運営しており、その時にはだいたい120~130人の人が集まるというが、この日集まったのは180人。世界大会というだけあって、出場者はもちろん、観客の中には外国人の姿も見受けられた。

 店内中央のステージ上のテーブルにはリングが設けられており、ロボットたちはそのうえで戦いを繰り広げる。試合のルールは相撲とほぼ同じで、リングの外に出るか、転倒してしまったら負け。これに加えて、ヘボコンならではのルール「ローテクルール」がある。これは「出来の悪いロボットでも活躍できるように」と考えられたルールで、マシン同士が接触しないうちにどちらかが土俵から出た場合は、試合が成立していないとして「やり直し」ができるというもの。開始早々に暴走して場外、自滅という事態を避けるためのルールだ。また、時間内に勝負がつかなかった場合は、より移動したマシンが勝ちというルールもあるが、これも暴走マシンの不利をなくす目的かと思われる。

 試合が始まると、リング上には次々とロボットが登場するのだが、それらはどれももれなくヘボい。

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