そうした戦いの末、優勝に輝いたのは香港からの出場したRicky Chanさん。ロボット名は「ロボットコントロールドコントローラーロボット」というもので、一見コントローラーに見える方がロボットで、ロボットに見える方がコントローラー、という変わり種のマシン。それによって「相手を混乱させ、かく乱する」マシンだという。実は香港大会では過去に3回、準優勝経験がある実力者だ。優勝については「この大会は準優勝が優勝だと思ってるんです。というのも、ローテクで負けるのがヘボコンでは素晴らしいことなので」とコメント。ヘボコンのベテランらしい意見を披露した。

 しかし、この大会でもっとも栄誉あるのは、観客の投票で決まる「もっとも技術力が低かった人賞」。グランプリに輝いたのは、アニポールさんの「ポールダンスロボ パーティーロックアンセム」だった。

 1回戦負けを喫したものの、確かにビジュアル、動き、お札をばらまく謎の行動、すべてにおいてインパクトの強いマシンだった。表彰されたアニポールさんは「こんな栄誉ある……栄誉ある?……賞をいただけるとは思っていなかったので、とてもうれしいです」と戸惑いつつも喜びのコメントを述べた。

 最後には出場者と出場マシンが集まってのフォトセッションがあったのだが、マシンが集まった時のガラクタ感がすごかった。しかし、だからこそこの頼りないマシンを、出場者はもちろん、観客までもが懸命に応援してしまうのかもしれない。コンテストや大会というと能力が高い人が競い合うイメージだが、能力が低いからこそ楽しめる大会もあるようだ。(文・横田 泉)