1番田中広輔、2番菊池涼介、3番丸佳浩と、20代の好打者たちがリードオフ。ポイントゲッターには、長距離砲のエルドレッドと、2000安打を達成したベテランの新井貴浩という30代の2人。エルドレッドが故障で抜ければ、すかさず、こちらも30代のルナがカバーしている。鈴木誠也という2試合連続サヨナラ本塁打のラッキーボーイも生まれた。エース前田健太が移籍した投手陣をカバーすべく、すべてがうまく回っている。

 今年の打線は、球団記録の12連勝した84年に似ている。当時も1番山崎隆造、2番高橋慶彦、3番小早川毅彦と、20代の好打者3人がチャンスメーク。これを4番山本浩二(同年に2000安打達成)、5番衣笠祥雄という30代のベテラン2人が返していた。さらに同年9月、長嶋清幸が巨人の西本聖、江川卓という両エースから2試合連続サヨナラ本塁打を放っている。こちらはまさに、今年でいえば鈴木誠也ではないか。84年は、山根和夫、北別府学、大野豊、川口和久を中心とした投手陣がリーグ最少失点。得点はリーグ3位だったが、盗塁は同1位。投打のバランスが取れ、古葉竹識監督の下、4年ぶりの優勝を果たしている。

 7月2日の試合で左肩を負傷した菊池の具合は若干気になるが、12球団で最も優勝から遠ざかっている広島に、とてつもないVチャンスが到来している。

(文=日刊スポーツ・斎藤直樹)