新生賞に輝いた『町田くんの世界』(集英社)の安藤ゆきさんは、「地味な作業で地味な作品を描いているつもりなので、このような素晴らしい賞をいただけて光栄です。これを励みに、これからも頑張りたいと思います」と喜びを語った。

 2015年に断筆を宣言した中崎タツヤさんが『じみへん』(KADOKAWA)で短編賞を受賞。「引退した後にこういうことになって、ちょっと驚いている」と、受賞のあいさつを始めた中崎さんは、「あまりにも申し訳ないんで、辞退しようと思っていたんですよね。で、『賞金あります?』て聞いたら、担当の方が『ありますよ』って言うんで、ちょっとネットでいくらかなって一応調べて…… これはもう、ありがたくいただくしかないなと思って、いただくことにしました」と締めくくり会場を爆笑させ、大きな拍手を送られた。

 10年にわたり博物館と図書館の両面からマンガ文化に貢献したことを評し、特別賞に選ばれた京都国際マンガミュージアムは、館長の養老孟司さんが登壇。年間入場者数が約30万人、うち外国人は2割程度だとし、観光客増加に伴い、入場者数も増加傾向にあると話した。その上で「京都市と京都精華大学、それから地元の人のご協力で成り立っているミュージアムであります。今後ともぜひ、よろしくお願い致します」と、あいさつを締めくくった。

 イベントの最後には受賞記念トークとして、京都精華大学学長を務める竹宮恵子さんが登場。「マンガとミュージアム」をテーマに、京都国際マンガミュージアムの課題とこれからについて熱く語られた。

 大盛況のうちに幕を閉じた、第20回手塚治虫文化賞贈呈式。20年の節目にふさわしい、豪華で味わい深いイベントとなった。