転職8回の末に無職 43歳男性を“どん底”から救ったのは「草むしり」だった (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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転職8回の末に無職 43歳男性を“どん底”から救ったのは「草むしり」だった

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南文枝dot.#仕事#転職
どんなに広い現場でも1日で終わらせる。作業は役割分担が重要だ(宮本さん提供)

どんなに広い現場でも1日で終わらせる。作業は役割分担が重要だ(宮本さん提供)

「熱意があれば挑戦できる」と話す宮本さん (宮本さん提供)

「熱意があれば挑戦できる」と話す宮本さん (宮本さん提供)

「草むしりをしてみたら?」

「43歳で手に職もないし資格もない。人脈もお金もない。人に使われるのも嫌。やるしかなかった」(宮本さん)。こうして、お隣の前橋市で草むしり会社を設立。2009年1月のことだった。

 当初の営業範囲は、関越自動車道の前橋インターから半径2キロ(現在は5キロ)に設定。道も町の名前も分からない中、毎日手作りのチラシをまき続けた。まずは自分を知ってもらおうと、チラシには顔写真やプロフィルを掲載。そうするうちにぽつぽつと依頼が寄せられるようになり、年末には目標の100件を達成した。

 とはいえ、軌道に乗せるのは簡単ではない。100件の顧客が、次も頼んでくれる保証はない。収入も低い。「先が見えない中、果たしてこれで生活できるのか、とすごく不安だった」という。

 不安が解消されたのは3年後。顧客は約400件に増え、「これはいける」と確信した。草むしりで困っている人はたくさんいて、リピート率は約90%になっていた。それからは毎年約100人ずつ顧客が増えていき、現在では約700件に上る。

 仕事は大変だが、やりがいもある。例えば、昔ながらの日本家屋で草むしりをしていた時のこと。長い間手入れされていなかった、うっそうとした庭を1日かけて作業した。夕日が沈むころ、それまで姿をみせなかった依頼主が縁側に正座して庭を眺めていることに気が付いた。親の遺影のような写真を抱き、じっと庭を見つめている。「喜んでくれたのかな」と胸が熱くなった。

 宮本さんの存在を知り、会社には「草むしりを仕事にしたい」という問い合わせも寄せられるようになった。これを受け、実技や座学など45日間の研修を経て、試験に合格すると取得できる「草むしりマイスター」という資格を創設。現在、40、50代を中心に約10人が資格を持ち、福井や滋賀、香川など全国9地区で活動している。宮本さんは「いずれは全国で1000人のマイスターを送りだし、100万件のお客さまの役に立ちたい」という目標を掲げる。

「何もなかった43歳の時から始め、今では十分仕事としてやっていけるようになった」と宮本さん。現在は「勇気と覚悟さえあれば、思いはかなう」と感じている。春を迎え、これから仕事が忙しくなる。宮本さんが始めた「草むしりの輪」が、全国に広がることを期待したい。

(ライター・南文枝)


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