堀切港で見つけた猫。カメラを近づけても逃げない
堀切港で見つけた猫。カメラを近づけても逃げない
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琵琶湖に浮かぶ国内でただ一つの湖の有人島、沖島(近江八幡市提供)
琵琶湖に浮かぶ国内でただ一つの湖の有人島、沖島(近江八幡市提供)
沖島の桟橋にいた3匹。島では猫を飼っている家はないという
沖島の桟橋にいた3匹。島では猫を飼っている家はないという
特産品の開発などに取り組む「おきしま倶楽部」の(左から)杉山さん、福井さん、浅田さん
特産品の開発などに取り組む「おきしま倶楽部」の(左から)杉山さん、福井さん、浅田さん
港の風景。湖沿いに、家が立ち並ぶ(近江八幡市提供)
港の風景。湖沿いに、家が立ち並ぶ(近江八幡市提供)

 動物写真家の岩合光昭さんが写真集で紹介したのをきっかけに、近年“島”としてインターネットなどで話題の、滋賀県・琵琶湖に浮かぶ国内唯一の有人島、近江八幡市の沖島。周囲約6.8キロ、面積約1.5平方キロ、人口約300人のこの小さな島に、休日になると約1.5キロ離れた対岸から、定期船「おきしま」で観光客が猫を探しにやって来るという。そんな島に興味を持ち、実際に行ってみることにした。

【沖島の猫たちと島の様子はこちらから】

 2016年2月のある日、対岸の堀切港に到着すると、早速猫を発見。筆者に近づいてきたものの、えさを持っていないと分かると興味なさそうに丸まる。恐る恐るカメラのレンズを向けるが、人に慣れているのか、かなりの至近距離でも逃げない。

 堀切港から沖島漁港までは、定期船「おきしま」で約10分だ。船内の掲示板には、「野良猫にエサを与えないで下さい」と書かれた張り紙がある。後で聞いた話によると、島にいるのは全て野良猫で、観光客らがえさを与えるために人に慣れてしまい、家の中に入って住民とトラブルになることもあるそうだ。漁網の中に入って破ることもある。見た目はかわいくても、動物との共生は良いことばかりではないのだろう。

 島に着いて、早速猫探し。港から東へ、湖沿いの道を進むと、悠々と歩いている猫を見つけた。島内では自動車がまったく走っていないため、はねられる心配はない。島民は自転車か徒歩で移動する。細い道沿いに止められた自転車を見ると、荷物がたくさん積めるよう、後ろに大きな荷台がついた三輪車タイプが多い。湖沿いの桟橋では、3匹の猫が毛づくろいをしていた。

 順調に猫を発見できたのもつかの間、それからは島内を2時間ほど歩き回るも、見つかったのは5匹ほど。季節や時間が悪かったのか、意外と少ない。これは……猫島なのか?

「島中に猫がいるわけではない」と話すのは、島外から島おこしに励む団体「おきしま倶楽部」(滋賀県竜王町)代表の福井和彦さん(53)。観光客から「猫はどこですか」と聞かれることも多いが、推測するに10~20匹程度しかいないという。島民や関係者に聞いても、多い時でも数十匹だそうだ。

 福井さんは近江八幡市出身。IT企業に勤めていた13年に沖島を初めて訪れ、ほとんど観光化されていない、のどかな島の暮らしに引きつけられた。昭和の半ばには800人超だった島の人口は、現在は半数以下に減少。少子高齢化も進む島をもり立てようと、退職して弟の浅田弘さん(50)とおきしま倶楽部を設立。16年からは元同僚の杉山卓士さん(46)も加わり特産品の開発などに取り組んでいる。

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