また、地元神戸や兵庫県内に本社がある食品・飲料関係会社11社も、協賛事業「踊る!KOBE光のファウンテン」を開催。東遊園地の南側噴水広場でUCC上島珈琲や剣菱酒造、豚まん専門店「老祥記」、六甲バターなどが飲食ブースを設置し、ジャズやフルートのライブを行う。

 今年の神戸ルミナリエは、イタリアのディレクター、ダニエル・モンテベルデさんが「心の中の神戸」(NEL CUORE KOBE)をテーマに制作。旧居留地の入り口から約16メートル、日本初公開という屋根付きの回廊「ガレリアコペルタ」が展示され、東遊園地まで光のトンネルが続く。平日は18時ごろ、土、日は17時ごろから点灯される予定だ。

 組織委員会の担当者は「震災を経験された方にとって、当時の記憶を引き継いでいくきっかけになればいいし、20年の節目を経て、神戸にたくさんの人が来てもらえるよう、街の魅力を発信する場にもしたい」と話す。そのためにも「単年度収支が成り立ちにくい状況だが、皆さんや企業の力を借りて続けていきたい」と力を込める。

 震災で自宅が全壊し、経営していたそろばん教室の教え子を亡くした神戸市東灘区の80代の女性は、毎年神戸ルミナリエに足を運ぶ。募金をして復興の鐘を鳴らし、柔らかな光の中で手を合わせて教え子に語りかける。「鐘を鳴らす列に並ぶ人たちを見ると、みんな同じような思いで来ているのだろうなあと思う。ずっと続けていってほしい」と願う。

 震災の年に生まれた子どもは成人し、震災を経験していない、知らない人は増え続ける。赤字はすぐに解消できるものでもないが、訪れた人々がそれぞれの震災に思いをはせる祈りの場所として存続していってほしい。

(ライター・南文枝)