「正直、アキレス腱を切ったときはすごくショックでした。リハビリにすごく時間がかかるし、切れた瞬間に『ああ、体操人生終わったな』と思った」

 このケガをする前まで、鶴見は「リオ(五輪)までがんばってやろうかな」と考えていたが、その考えも変えざるを得なかった。

「リオ五輪に出たいっていうのもあったんですが、目標としては出るだけじゃなく、メダルを目指してやりたいっていう思いがあったので……」

 これまで二度、五輪の日本代表入りをしてきた彼女にとって、そこに高い目標を掲げるのは当然のことだった。鶴見はアキレス腱の手術の翌日、監督に「引退したい」と告げた。そこで引退を思いとどまらせたのは、監督とチームメイトの声だった。

「先生もチームのみんなも、最後だからがんばろうと言ってくれた。(団体選手権の)段違い平行棒だけがんばろうということになって、ここまで練習してきました」

 そこから今大会まで、ひたすらに段違い平行棒だけを練習し続けた。「モチベーション的にキツイ時もあった」と明かす鶴見だったが、仲間に支えられながら続けることができたという。一方でそんな鶴見の姿が、チームメイトに与えた影響も大きかった。

 日体大1年にして、今年の世界選手権の個人総合で6位に入る活躍をみせた村上茉愛は、鶴見への思いをこう話した。

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