地元チームとは4試合戦い、全勝した。小谷君はうち2試合に外野手として出場。相手チームの選手はみな体格が良く、中学生にして身長180~190センチの選手もいた。投手はストレート主体だが、球は速かったという。緊張したが、ヒットを打ってチームに貢献した。10点以上の大差をつけて勝った試合もあり、野茂さんは「今年のメンバーはまとまりがあっていい」と評価していたそうだ。

 投手として「自分のレベルがどれぐらい通用するのか経験してみたかった」という思いは当然ある。悔しさは残ったが、他のメンバーの投球を見て「自分はもっと頑張らないかん」と刺激になった。遠征に行く前は阪神タイガース入りが目標だったが、大リーグの試合を見て「アメリカでも挑戦したい」という気持ちがわいた。高校は野球の強豪校に進学し、まずは甲子園を目指す。

 NOMOクラブの清水監督によると、「各地域のトップ選手が集まるので、技術的なことはできている。こちらはその緊張をほぐすなど100%の力を出せるようサポートした」と話す。今年は投手のレベルが高く、特に140キロ台のボールを投げるという「飛騨高山ボーイズ」(岐阜県)の根尾昂君や、いいボールを放っていたという「湖北ボーイズ」(滋賀県)の横川凱君が注目されたという。

 遠征では、現地の球場見学も行うため、大リーグの選手のバッティング練習などを間近で見ることができる。清水監督は「中学の間にアメリカの野球をグラウンドレベルで体感すると、早く世界に目が向くのではないか。参加した選手たちにはプロになって活躍してもらいたい」と期待する。

 アメリカ遠征は、日本野球界のパイオニアとして大リーグに挑戦し、現地で関係を築いてきた野茂さんだからこそ、できる支援だといえる。世界を肌で感じた選手たちは、これからどのように成長していくのか。選手たちの中から大リーガーが出てくる日を楽しみに待ちたい。

(ライター・南文枝)