最近では「キャンパスがきれいな大学」としても評価されているという近畿大(東大阪キャンパス)
最近では「キャンパスがきれいな大学」としても評価されているという近畿大(東大阪キャンパス)
16年の大学案内はファッション誌のよう。この中に学部長もいる
16年の大学案内はファッション誌のよう。この中に学部長もいる
「(関西における大学)リーグのくくりをなくしたい」と語る広報部次長の角野さん
「(関西における大学)リーグのくくりをなくしたい」と語る広報部次長の角野さん

「ウナギ味のナマズ」の開発や養殖魚のレストランや、音楽プロデューサーのつんく♂さんが手掛けるド派手な入学式といった、奇抜な取り組みを次々と行い、注目を集めている近畿大学。2015年度の一般入試志願者数は過去最高の11万3704人と、教育会社の大学通信がまとめたランキングによると、全国の主要私立大の中では2年連続でトップとなった。

 少子化が進み、多くの大学が学生集めに苦労する中、なぜこれだけの志願者が集まるのか。そこには、広報に対する“攻めの姿勢”が少なからず影響しているようだ。

 例えば16年の大学案内は、若者向けカルチャー雑誌「東京グラフィティ」などを発行する出版社、グラフィティ(東京都渋谷区)に製作を依頼した。学生や卒業生、教職員ら1025人を起用した大学案内は、学生のファッションスナップや1人暮らしの部屋、美少女・美男子図鑑、学食などの写真が多くのスペースを占め、ファッション雑誌のような仕上がりとなっている。

 全80ページのうち、約4分の1を占める「近大人snap」と題したファッションスナップは、所属する学部ごとに分かれているものの、学部や学科の説明はほとんどなし。学生のスナップ写真に添えられたコメントも、ファッションのポイントや近大生になって良かったと感じる瞬間、今日の予定のみだ。学部長は、学生に交じってひっそりと(?)掲載されている。

 今どきの大学生の日常がさらりと分かる内容で、読み物としては面白いが、これでは何を学べるのか分からないのでは? その辺は抜かりなく、各学部の研究テーマや進路、就職先といったデータなどは別冊にまとめられている。さらに詳しい情報は、学部別のパンフレットなどでも紹介しているという手厚さ。

 資料請求をした人には無料で提供するほか、一般向けとして全国の書店でも480円(税込み)で販売している。一般的な大学案内とは一線を画すが、広報部によると案外好評だという。

次のページ