毎日変わる通貨レート
毎日変わる通貨レート

 今年は前半からギリシャ経済危機や、中国の株価、通貨の変動など不安材料も多く、金融市場では「リスクオフ」という言葉をよく耳にしますね。

 ところで「1ドル=134円」など金融市場でみかける価格はどのように決定されるのでしょうか?各証券会社などで提示されている投資商品の店頭価格は、市場と連動して上下していることはすでにご存じかと思います。しかし、取引所を含めた金融機関同士の金融取引については、「値段があってないようなものです」と言えば驚かれますか?
 
 食材や家庭用品などの買い物をするときは、商品についた値札をみて買うか否かの判断をします。バーゲンなど特売日にならない限り、その値段は翌日になってもそれほど急に変わるものではありません。ところが、金融市場で取引されている金融商品の値段は一定ではありません。各国の財政状況や輸出入の需給バランス、各金融商品や通貨そのものの人気などで価格は常に変動しています。毎日同じような値段の日用品とは異なり、その日限りの話題で価格が上下します。簡単に言えば、人気投票が毎日行われている状態ともいえます。

 為替市場に代表されるような、インターバンク市場(参加者が金融機関に限定された市場)は、市場参加者同士で売値(BID)と買値(ASK)の双方を同時に提示したうえで、相手方に瞬時の取引決定権を促し続けている状態です。「この価格でいかがですか?」などという緩やかなものではありません。「Do it or Not」(取引するか否かを即決断)の瞬間価格提示なので、「あの時の値段」を再度提示されることはありません。取引をしたい場合には、「今でしょ!」の気持ちが必要です。

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