そこで、「ゆとり」は無視し、とにかく読み・書き・計算などの基礎学力を徹底的に伸ばすことを重視。あえて勉強部屋は設けず、母親の目が届くリビングルームで勉強をさせた。分刻みのスケジュールで勉強を手伝い、自動車で塾や学校への送迎など、全力投球で子どもの勉強をサポートするスタイルで、見事進学校への合格を勝ち取らせたのだ。

 とはいえ、佐藤氏自身は津田塾大学を卒業し、さらに英語教師として2年間教壇に立った経験もある。また、佐藤氏の夫である佐藤真理(まさみち)氏は東大法学部卒というから、「この親にしてこの子あり」「もともと頭が良かったんじゃないの?」と思ってしまう人もいるかもしれない。

 そういう方にこそ同書および、巻末の「佐藤ママに聞きたい!子どものこと、学校のこと、受験のこと Q&A」の一読をおススメしたい。「佐藤さんは教師の資格を持っていたから子どもの指導ができたんじゃないですか?」という問いに対し、教員生活で学んだことが有益だったとは否定しないが、大事なのは、教えることよりも、母親自身が子どもと一緒に学び、勉強を楽しむことだと答えている。また、基礎学力は、DNAに関係なく、トレーニングすればするだけ伸びていくと語る。

 子ども愛する気持ちさえあれば、誰もが“プロママ”になれる、そう力説する佐藤氏の言葉は、受験を控えた子どもを持つ保護者だけでなく、多くの母親にとって力強いエールとなって響いてくるだろう。