小泉今日子と宮沢りえは、なぜ生き残ることができたのか? (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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小泉今日子と宮沢りえは、なぜ生き残ることができたのか?

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助川幸逸郎dot.#小泉今日子になる方法
連続ドラマW グーグーだって猫である DVD BOX出演:宮沢りえ、長塚圭史/監督:犬童一心定価:8,208円(税込み)Amazonで購入する

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出演:宮沢りえ、長塚圭史/監督:犬童一心
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 どうすれば小泉今日子のように、齢とともに魅力を増していけるのか―― その秘密を知ることは、現代を生きる私たちにとって大きな意味があるはず。

 日本文学研究者である助川幸逸郎氏が、現代社会における“小泉今日子”の存在を分析し、今の時代を生きる我々がいかにして“小泉今日子”的に生きるべきかを考察する。

※「『グーグーだって猫である』に見る小泉今日子と宮沢りえの違い」よりつづく

*  *  *
 小泉今日子は演技のなかで「自分の生身の肉体」の気配を消すことができます。だからどのような役もこなせるし、「浮世ばなれした存在」になるのも巧みです(映画版『踊る大捜査線』シリーズで演じたサイコパスの殺人鬼・日向真奈美は迫力がありました)。「儚いもの」を演じられるのも、おそらく同じ理由からです。

 宮沢りえは、幼少時代に両親が離婚しました。その後、母親の新しいパートナーと暮らしたり、親戚の家に預けられたり、複雑な環境で成長しています。小学校高学年のころからCMに出演し、「美少女タレント」としてブレイク。歌や演技にも活動の場を拡げ、1980年代末から1990年代初めにかけて、絶大な人気を得ていました。1992年には、篠山紀信撮影によるヘアヌード写真集『Santa Fe』を発表。18歳の若さでこうした作品を世に問うたことは、芸能ニュースの域を越えて話題になりました。

 小泉今日子は若いころから、「芸能界の中心で仕事してるのに、びっくりするほど『普通の人』の面がある」と言われます(注1)。宮沢りえには、特殊すぎる育ちのせいで「普通の人」の素養がありません(注2)。このため、生身の彼女そのものが「浮世ばなれ」しているといえます。

『グーグーだって猫である』の宮沢りえが、大島弓子の漫画の作中人物のようだと、私は先に書きました。演出の犬童一心は、撮影前から宮沢りえを気に入っていたようです。市川準監督の『トニー滝谷』(2005年)を見て、宮沢りえに引きつけられたと語っています(注3)。

『トニー滝谷』で宮沢りえは、二役を演じています。ひとりは、買い物依存症の主婦。もうひとりは、その主婦が亡くなった後、遺された大量の衣服を着るために彼女の夫によって雇われた女性です。どちらの役でも宮沢りえは、現実の人間とは思えないほど繊細な表情を浮かべています。この作品での彼女の顔は、山岸凉子の漫画の登場人物を思わせます。


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