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世界一!? なぜ、富山に“美しいスタバ”があるのか?!

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周りの景観に溶け込んだ「スターバックス コーヒー 富山環水公園店」

周りの景観に溶け込んだ「スターバックス コーヒー 富山環水公園店」

店の前には富岩運河環水公園のシンボル「天門橋」

店の前には富岩運河環水公園のシンボル「天門橋」

冬場はイルミネーションに彩られて夜景も美しい

冬場はイルミネーションに彩られて夜景も美しい

 富山市内には、いつからか「世界一美しい」と評判の高いスタバがある。富山環水公園店はJR富山駅から徒歩16分。富岩運河環水公園内にあり、水辺の空間に面した西側は総ガラス張りだ。景観に溶け込んだシンプルなデザインで、公園のシンボル「天門橋」が一望できる。

 店の外観は軽量鉄骨平屋建てで、張り出した軒が特徴的だ。開放感あふれる店内から見渡す風景は、確かに美しい。しかし、「何で世界一なの? ほめすぎじゃない?」。富山県民としては恐縮せずにはいられない。「世界一」といわれるようになった根拠を、広報担当者に聞いてみた。

「富山環水公園店は2008年に、ストアデザインを競う社内審査で最優秀賞を獲得しています。しかし、審査は毎年行っていますし、現時点で世界中にある約2万2千店舗の中で、ナンバーワンというわけではございませんでして……」

 担当者は申し訳なさそうに答えてくれた。鼻高々だった富山県民、がっかりである。しかし、温かいフォローが返ってきた。

「都市公園内で営業しているスターバックスというのは珍しく、国内ではほかに上野恩賜公園(東京)と二子玉川公園(同)、大濠公園(福岡)しかありませんよ」

 『やっぱり、自慢していいのね』と富山県民は安堵する。そして、「世界一でなくても、日本ではトップクラスと言っていいですか?」と聞いたところ、担当者は格付けや順位に大きな意味がないことを教えてくれた。

「社内のデザイナーは、地域の文化や歴史をリスペクトして個性のある店づくりを目指しています。ですから、審査は魅力ある店づくりのモチベーションにはなりますけれど、店舗同士で競争させるためのものではありません。あくまでも社内的なものです」

 真相は次の通りである。2008年に富山環水公園店が開店した後、前述した審査結果が出て間もないこともあって、同店を取り上げたひとつの記事に、「世界一」の見出しが躍った。以来、「世界一」のキーワードが独り歩きし、「富山に世界一美しいスタバがある」との認識が定着したようだ。

 あらためて、担当者に富山環水公園店の魅力について聞いてみた。

「74席あるうち、テラス席は32と多いことが特徴です。リードフックも設置しており、犬の散歩の途中で立ち寄っていただくにも便利。椅子に座ると運河と立山連峰が一望でき、冬場は公園内にイルミネーションが点灯することもありますので、四季を通じて楽しめます。対岸には美術館も建設予定ですので、店の周辺もどんどんすてきな場所になりますよ」
 
 アピールポイントは数多く、話は尽きない。富山県民、根拠はなくとも「世界一」を納得できる解説に、大いに気を良くした。世界一ではないが、「世界でもトップクラスのスタバ」と胸を張って言い続けてもいいのではないか。

 3月14日の北陸新幹線開業後、旅行客と思われる来店客が増えたらしい。また、開業前後は観光ガイドを制作する出版社などからの取材・問い合わせが相次ぎ、通常の10倍以上の件数の対応に追われたという。「世界一」との評判は、北陸新幹線の勢いに乗って富山環水公園店の知名度を一気に高めたといえる。

 富山観光の目玉といえば、立山黒部アルペンルート、世界遺産の五箇山合掌集落、富山市の「おわら風の盆」……。とはいえ、いずれも北陸新幹線が停車する駅からはかなりの移動距離がある。

「もしかして、最も行きやすくて、有名な富山の観光スポットはスターバックスかも……」

 富山県民は内心、ちょっと複雑でもある。

(ライター・若林朋子)


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