『名前でよむ天皇の歴史』 遠山美都男著 定価:886円(税込)
『名前でよむ天皇の歴史』 遠山美都男著 定価:886円(税込)

 初代・神武天皇から現在の今上天皇まで、125代続く歴代天皇。我々は、「◯◯天皇」という呼称を用いることに慣れ親しんでいるが、実は「天皇」という称号が出来たのは、7世紀に入ってからである。

 それ以前は、日本列島の統治者は中国から「倭国王」と呼ばれており、国内においては王(おおきみ)と呼ばれていた。つまり倭国王は、中国の皇帝に臣下として従属・奉仕することを誓って初めて、倭国の王に任命されるようになっていたのである。

 しかし6世紀の後半から7世紀にかけて倭国は中国に対する従属的な外交をやめ、自立性を確保する外交に方針転換を果たす。このときに、中国の皇帝から任命された王ではなく、新しい君主号が必要となった。「天皇」の称号が使われる契機はここにあったと考えられる。

 学習院大学などで非常勤講師を務める史学博士の遠山美都男氏は、著書『名前でよむ天皇の歴史』(朝日新書)で、歴史上、日本の天皇がどのように呼ばれてきたかを詳しく解説。遠山氏によると、7世紀頃に使われるようになった天皇号だが、平安時代の前半、醍醐の次々代にあたる村上天皇を最後に一時使われていなかったという。
 

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