だが、彼らに悲劇が襲う。地球を支配していた”パラノア銀河帝国”が反乱によって滅亡してしまったというニュースが飛び込んできたのだ。それまで地球人は武器の所有が制限されていたが、これが撤廃される。このため、地球人のなかに、宇宙戦艦ムサシを奪い取ろうという動きが起こってしまう。

 地球政府にあたる”世界連合”は、ムサシを奪取する目的で、”連合艦隊”を派遣する。突如、全人類を敵に回してしまった猛たちだが、”連合艦隊”と戦うことを選んだのだ。ここで、宇宙人とのハーフである”パンテラ”が持つ恐るべき能力を発揮する。猛のテレポート能力によって、”連合艦隊”の艦船は、次々と内部から弾薬庫を爆発させられ、一気に壊滅してしまう。そして、猛は「自分たちだけの国を作ろう」と提案して、宇宙戦艦ムサシは宇宙へと旅立ったのだった…。

 こうしてストーリーラインをまとめてみるといろいろ突っ込みたくなる内容だが、小説としては、すんなり読むことができた。

 実際に戦艦武蔵を発見した、米国・マイクロソフト社の創業者のひとり、ポール・アレン氏はSF好きだと知られている。だが、『宇宙戦艦ムサシ』の存在を知っていたか、それは定かではない。

(ライター・河嶌太郎)