広島とのクライマックスシリーズ(以下CS)ファーストステージから巨人とのファイナルステージまでの6戦で、阪神が1つの引き分けを挟む破竹の5連勝を飾って、日本シリーズ進出を決めた。

 ファイナルステージの下馬評は巨人有利。12年から3年連続でリーグ優勝を決め、12年には日本ハムを破って日本一にもなっている。多くのファンが巨人有利と思ったこのファイナルステージ、阪神はどうして負けなしの4連勝でフィニッシュできたのだろうか。

 私は2つの要因があると考えている。最初に取り上げないといけないのは、阪神の生え抜き選手の活躍である。

 阪神は星野仙一氏が監督に就任した02年以降、他球団の主力選手を、FAを含むトレード戦略で獲得し続け、セ・リーグの上位に君臨してきた。それは03、05年のリーグに結実するのだが、日本シリーズでは1回も勝てず、06年以降の9年間はリーグ優勝にさえ手が届いていない。

 87~02年までの16年間でAクラスが1回だけという暗黒時代を克服した“トレード戦略”を唯一絶対の成功法則とするあまり、阪神フロントと歴代監督たちは「ドラフトで獲得した若手を育成して主力選手に仕立て上げる」という常勝球団のノウハウをどこかに置き忘れてしまった。

 2位通過した昨年は3位広島とCSを戦い、「1対8」「4対7」で2連敗しているが、このときの生え抜き組と移籍組の構成比は、野手の打数に限定するとおおよそ「生え抜き組45パーセント」「移籍組55パーセント」だった。

■2013年CSファーストステージの構成比
●生え抜き組 28打数5安打、打率.179 ※マートン含む
●移籍組   34打数6安打、打率.176

 スターティングメンバーに名を連ねたのは生え抜き組が延べ7人、移籍組が延べ11人で、この部分では生え抜き組39パーセント、移籍組61パーセントとさらに移籍組への依存度が高くなる。

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