新年度が始まって2カ月がたつ。4月には「モンスター新人」と呼ばれていたような新入社員たちも、そろそろ新たな環境に慣れ始めたころだろうか。

 モンスター新人の実態についてはバラエティ番組などでも度々取り上げられ、4月29日に放送されたTBS系の『内村とザワつく夜』では「自分のために開かれた歓迎会に来ない」「上司にラインのスタンプで謝る」「『帰れ!』と言われ本当に帰る」などといったモンスター新人たちが紹介されていた。

 バラエティ番組内での出来事であれば、見て笑って、それで終わりだが、実際の職場ではそうはいかない。実際、産業能率大学が昨年6月に発表した調査(第2回 上場企業の課長に関する実態調査)によると、課長たちの最大の悩みは「部下がなかなか育たない」で、その数は回答した課長の41.8%(前回2年前の調査より12.1ポイント増)にものぼったという。

 一方で、興味深いのは、昨年12月に発表された「2013年度 新入社員 秋の意識調査」(日本生産性本部)で、「自分のキャリアプランに反する仕事をがまんして続けるのは無意味だ」という設問に「そう思う」と答えた割合が、過去最高の42.4%(昨年比15.9 ポイント増)になったという事実だ。やる気のある部下にしてみれば、自分のキャリアを邪魔する上司は、さしずめ「モンスター上司」といったところだろうか。

 つまり、「部下を育てようとする上司」と「わが道を行こうとする部下」の間に、大きな意識のズレが生じてしまっているようなのだ。その結果として、たくさんのモンスター新人が生まれ、心ある上司たちを困らせているのだとしたら、これほどもったいないことはない。

 意識のズレを取り除くなら、早ければ早いほどいい。新入社員と上司が出会ってまだ2カ月。意識のズレが大きくなりすぎて大弱りする前に、今のうちに相手の立場に思いをめぐらしてみてはいかがだろうか。

【関連リンク】
「上司と部下のホンネがわかるストーリー」(朝日新聞出版HP)
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=15927