■早急に改善を! Nさん家計の改善案

 老後の住まいを決めるのは時間をかけてもかまいませんが、貯蓄を含めた老後の準備はすぐにでも始めるべきです。

 収入と支出の差額、4万2750円のうち4万円は貯蓄に回し年間48万円。iDeCoが月1万円あるので年間60万円が貯蓄等に回せることになります。ボーナスは年間24万円とありますが、Nさんご夫婦の帰省費用が6万円。Nさんはもっと帰省したいと書かれているので、ボーナスから使用する金額は帰省を含め10万円とします。残りの14万円を貯金するようにすれば、年間74万円が貯金できることになります。

 夫の借金は3年弱で完済することから、3年間で222万円の貯金ができる計算になり、保有する金融資産とあわせれば283万円になります。このときNさん51歳、夫45歳ですから老後の準備のためにはさらに頑張らなければなりません。夫の借金の返済額分も貯蓄に回すとすれば48万円が加わり年間122万円、60歳までの9年間で1098万円の貯蓄増となり、1381万円が60歳時点の金融資産残高ということになります。

 Nさんが60歳のとき、夫は54歳。仮にNさんがパートを辞めると年間72万円の収入減となりますが、夫の収入だけでも年間50万円貯金ができ、Nさんが65歳になるまでの5年間で250万円積みあがり1631万円になります。

 夫の退職金の有無の記載がありませんが、退職金があればちまたいわれる老後資金2000万円は確保できるでしょうが、退職金がなければ2000万円に届きません。2000万円なければ老後が過ごせないわけではなりませんが、65歳まで頑張っても届かない可能性があるということは認識してください。住まいのことも然ることながら、早急に家計管理を行って老後への準備を始める必要があるということです。支出も限られることになりますので、1日でも早く貯蓄体質に改善するように頑張ってください。(深野康彦:ファイナンシャルプランナー)