■「家を持たない老後」はアリなのか?

 ここからは、Nさんのキャッシュフォローや老後の考え方について述べていくことにしましょう。老後に関しては、「家を購入しないで生涯賃貸住まいでいる」という人は増えているようです。このため生涯賃貸という選択肢、あるいは現役時代は賃貸住まいでリタイア時に購入という選択肢など、老後の住まいの考え方は多々あるとご理解ください。

 なお、リタイア後も賃貸住まいの場合、購入したケースより支出は多額になりがちですが、リタイア後は田舎に住むなどすれば多額の支出とはなりません。老後の住居費を左右する鍵は購入か賃貸かだけではありません。特に、賃貸の場合はどこに住むかで家賃が大きく変わります。Nさんは現在48歳ですので老後が視野に入ってくるタイミングかと思いますが、まだ時間はたくさんあるため、賃貸の場合はどこに住むかも含めてじっくり考えてください。

■Nさん一家のキャッシュフロー、ズボラ家計で老後が心配

 最後にNさん一家のキャッシュフローですが、老後も視野に入れるなら計画的にしっかり貯蓄を行っていく必要があります。

 現在、夫の収入が月38万円、Nさんのパート収入が4万~8万円の中央値の6万円として、世帯収入は44万円になります。

 一方、記載されている支出を合計すると、遊興費を含め34万7250円、iDeCoの掛け金が1万円の合計35万7250円になります。このうち、携帯電話使用料は中央値で試算しています。収入44万円に対して35万7250円の支出ですから、差額は8万2750円になります。

 ここから、夫の借金返済額(毎月4万円)を差し引いた、4万2750円は貯蓄できることになります。年間にすれば56万7000円になりますが、相談文を読む限りでは貯蓄に含まれていないように感じます。

 むしろ相談文に「今の私の収入は家計でまかなえない2人の衣服費や赤字が出たときの補填に使ったりしていますが、おしゃれ好きなので、高額を使ったりしています」とあることから、差額はそのほとんどが貯蓄に回っていないと考えられます。

 毎月しっかり貯蓄を行い、また相応の貯蓄があるのであれば問題ありません。しかしながら、現在のNさんは夫の借金があるうえ、貯金も40万円、iDeCoの残高を加えても61万円しかありません。厳しいことをいうようですが、このままのズボラ家計では老後の準備がままならないばかりか、何らかの突発的なことがあればたちまち貯蓄は底を尽いてしまいます。

次のページ
早急に改善を!Nさん家計の改善案