くらた・そうたろう/くらた医院院長。日本臨床毛髪学会常任理事。日本臨床皮膚外科学会理事。 1983年愛媛大学医学部卒業。大阪大学医学部附属病院皮膚科形成外科、大分医科大学皮膚科形成外科、ウィスココンシン大学霊長類研究所などを経て、99年に大分県別府市に、くらた医院開業。Photo by Toshiaki Usami
くらた・そうたろう/くらた医院院長。日本臨床毛髪学会常任理事。日本臨床皮膚外科学会理事。 1983年愛媛大学医学部卒業。大阪大学医学部附属病院皮膚科形成外科、大分医科大学皮膚科形成外科、ウィスココンシン大学霊長類研究所などを経て、99年に大分県別府市に、くらた医院開業。
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日本臨床毛髪学会 常任理事 倉田荘太郎医師に聞く

 成人男性の3人に1人が悩まされるという薄毛。最近では、様々な対策や予防法が登場し、多くの男性に希望の光が差し込んでいる。しかし、誤った対策をしては本末転倒、むしろ薄毛が進行しかねない。いろいろな対策や予防法が生まれているいま、どのようなことに注意して抜け毛を防げばよいのだろうか。女性も知っておきたい正しい薄毛対策について、日本臨床毛髪学会の常任理事を務める、くらた医院の倉田荘太郎医師に聞いた。

●実は男性だけじゃなかった! 女性も「男性型脱毛症」を発症

――男性、女性ともに30~40代以降になると、薄毛が気になります。なぜこの年齢になると、薄毛になっていくのでしょうか?

 男性と女性では薄毛になるメカニズムが全く違うので、分けて説明する必要がありますが、薄毛になる男性の多くは「男性型脱毛症(AGA)」で、成人男性の約30%が発症すると言われています。また、遺伝的な背景のない人でも70歳などの高齢になると、加齢によって薄毛になっていきます。

 男性型脱毛症の2つの条件があります。1つは、遺伝です。もう1つは、男性ホルモンの影響です。思春期以降になると、睾丸でつくられる男性ホルモンであるテストステロンの血中濃度が上がり、日本では早い方では10代の終り、多くは20代半ばから顕著に薄毛の症状が出始めます。それが進行し、多くの男性が意識するようになるのが30代から40代です。

 日本人の場合、脱毛のパターンは、剃り込みの部分からどんどん薄毛が進行する「M字型」、生え際が後退する「前頭部型」、つむじの部分からO型に薄くなる「頭頂部型」があります。また、前頭部と頭頂部から両方薄毛が進行して、側頭部だけ残る複合型もあります。

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