毛周期は、成長期から始まって1日平均0.35ミリ、1ヵ月1センチほど伸びます。これが5~6年続きますが、永遠に髪が伸びるわけではありません。そこから毛根が萎縮する退行期が2~3週間あり、さらに休止期が3~4ヵ月続き、毛根から新しい髪の毛が作られ始めると毛が抜けます。

 太い頭髪では1つの毛穴から約6年おきに毛は入れ替わっていますが、毛根によって周期がバラバラなので毎日100本ほど抜けることになるのです。ただ、他の動物のように秋口や体力が落ちた夏の後は栄養状態も影響して抜け毛が増えたりします。また、大病をすると髪の毛が抜けやすくなるのは、髪は生命の維持に影響がないため、他の部分に栄養が取られるからとも考えられます。

――普段の生活でやってしまいがちな、髪に悪影響を与える習慣はありますか?

 髪の毛や頭皮をきれいにしようと1日2回シャンプーで髪を洗う方がいますが、毛を作る毛根にも、髪の毛自体にもよくありません。刺激が多いほどダメージが増えるからです。髪自体と毛根へのダメージを分けて考える必要がありますが、いずれも過剰な刺激のあるシャンプーで炎症やかゆみ、赤くなったりフケが増えたりする場合はシャンプーそのものが合っていませんから使用を中止しましょう。育毛作用のあるものを使うことがあると思いますが、全員に合うわけではありません。無理して使うとマイナスです。

 現代社会では髪がダメージを受ける機会が多くなっています。原因の多くは、紫外線とドライヤーの熱とドライアップの際などの物理的な刺激です。髪が濡れているうちに強くタオルで拭くと、大きなダメージでキューティクルがはがれてしまいます。ドライヤーはぬるい温度で、ブラッシングもゆっくりやさしくしましょう。また脱色のブリーチなどの化学薬品もダメージヘアの原因です。

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