子どもたちは午前10時に集まってきます。子どもたちは、昼寝をする群としない群に分けられます。家庭で見かける事物の写真12枚を、1枚ずつ見せて黒板に貼りつけ、事物の場所を覚えてもらう視覚空間課題をさせます。

 その直後に、どれぐらい記憶しているかをテストしました。すると、両群ともよい成績でした。昼に昼食をとり、午後1時から2時間を「昼寝の時間」としました。午後3時に2回目のテストを行い、翌日の朝10時に、24時間後のテストを行ったのです。

●興味深い研究結果

 すると、昼寝をした子の成績は、2回目のテストでも、24時間後のテストでも、テスト直後の成績と変わらないのに、昼寝をしなかった子の成績は、2回目のテスト、24時間後のテストとも、直後のテストの60%の出来に下がっていました。

 そこで、昼寝群と同様な昼寝をした子ども14人の脳波を記録し、睡眠の状態を調べました。

 全睡眠時間は74分で、「徐波睡眠」が95%、「逆説睡眠」(レム睡眠)が1%でした(→「徐波睡眠」と「逆説睡眠」については、『赤ちゃん教育――頭のいい子は歩くまでに決まる』でくわしく説明したので、参考にしてください)。

 子どもの昼寝習慣を調べてみると、週2日昼寝をする子より、週5日昼寝をしている子のほうが、記憶能力が高かったのです。

「睡眠紡錘波」は10~13ヘルツの周期的な電位が「+」になったり、「-」になったりして、ピークが「紡錘状」の格好をしています。

 電位が「+」になるときには、神経細胞は働いていますが、電位が「-」のときには働いていません。

 大脳皮質全体で見ると、徐波睡眠時には、半分の数の神経細胞が働いています。

●徹夜は「百害あって一利なし」

 いま、脳科学の世界では、睡眠中に学習が起こり、学習が固定化されるということが起こるとするデータが増え続けています。

 ただ、睡眠を、脳科学で定義すると、わかりにくいものになります。

 学会では、「意識がなくなっていて、刺激に対する反応性が低下した状態」いうややわかりにくい定義が提案されています。

 私がよく定期試験を受ける学生に言っていることですが、徹夜して何かを覚えて試験を受けるのは非常によくないですよ!

 試験まで、起きている時間が長いほど、覚えたことを忘れていきますよ!試験内容を覚えたら、睡眠をとるのがよいのです。まだ、それを真剣に聞いてくれる学生に出会ったことがない!(笑)ぜひ実行してみてくださいね。

●ベストセラー“0歳からの伝説の育児バイブル”がついに復刻!!

 このたび、1983年の発売で長らく絶版となっていた、私と妻の『赤ちゃん教育』を、累計25万部突破の「カヨ子ばあちゃんシリーズ」を刊行したダイヤモンド社から出版しました。

 おかげさまで、多くの方々に読んでいただき、緊急重版も決定しました。本当にありがとうございます。

 刊行に際し、190点近いイラストと本文をリニューアルし、最新の脳科学データを満載にしました。

 1983年発行書籍は、一時期、アマゾンマーケットプレイスで1万56円の高値がつきました。国会図書館からの貸出も多くて本がバラバラになり、貸出ができなくなった、“0歳からの伝説の育児バイブル”です。

 2009年に『中居正広の金曜日のスマたちへ<金スマ>』(TBSテレビ系)や『エチカの鏡』(当時、フジテレビ系)などで“脳科学おばあちゃん”と紹介された妻の久保田カヨ子と一緒に実践してきたクボタメソッドの原点はすべて『赤ちゃん教育――頭のいい子は歩くまでに決まる』にあります。

 2人の息子も東大&一級建築士に合格。この20年で3000人超の赤ちゃんと接してきた我々の知見と経験をすべて書籍にとじこめました。

“クボタメソッド”が長年有効とされている秘密は、最新の脳科学データに基づき、前頭前野を鍛え、ワーキングメモリーの能力を高め、海馬を使う記憶の能力を高めるからです。

 よろしければ、ぜひ一度、お読みいただけると幸いです。