

内田樹
(うちだ・たつる)
プロフィール
1950年、東京都生まれ。思想家・武道家。東京大学文学部仏文科卒業。専門はフランス現代思想。神戸女学院大学名誉教授、京都精華大学客員教授、合気道凱風館館長。近著に『街場の天皇論』、主な著書は『直感は割と正しい 内田樹の大市民講座』『アジア辺境論 これが日本の生きる道』など多数
内田樹の記事一覧






「政治的テロリズム」よりも「社会的承認」 安部元首相殺傷事件から変わった権威に対する暴力の動機
安部元首相の暗殺事件から1年経たずして、社会学者・宮台真司氏の襲撃事件や、岸田首相襲撃事件が起こった。同様に社会から孤立した人が起こした秋葉原歩行者天国での事件のように無差別な殺傷から打って変わって、ターゲットが個人に特定化される事件が多発している。そこには、政治的テロリズムとは言い難い、覚悟のなさや未熟さがあった。政治学者・白井聡氏と哲学者・内田樹氏の新著『新しい戦前 この国の“いま”を読み解く』(朝日新書)では、二人がこの事件について対談形式で分析している。同著から一部を抜粋、再編集し、紹介する。



WBCや萌え系アニメに見る日本の抑圧された反米感情 ねじれた“親愛の情”と“尊皇攘夷”
「戦後の日本人が一生懸命に金儲けに邁進したのは、アメリカに対する復讐だった」と評論家・江藤淳が言った。1989年のバブル絶頂期には、三菱地所がロックフェラーセンターを買い、ソニーがコロンビア映画を買収。経済成長によって一時的にアメリカへの復讐は遂げたが、1990年代以降は“負けっ放し”の日本。政治学者・白井聡氏と哲学者・内田樹氏との新著『新しい戦前 この国の“いま”を読み解く』(朝日新書)の中では、現代の日本人が抑圧された反米感情をどのように持て余しているかが対談形式で述べられている。同著から一部を抜粋、再編集し、紹介する。
