第1408回「にゃんこ」の歴史は母の歴史 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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第1408回「にゃんこ」の歴史は母の歴史

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にゃんこ(岡田さん提供)

にゃんこ(岡田さん提供)

 石垣島からやってきた、その名も「にゃんこ」(写真、雌)。石垣島の友人が飼えなくなり私が譲り受けたが、私も出産後飼えなくなってしまった。

 代わりに近所で一人暮らしをしている母が引き取ってくれて早10年。にゃんこは現在16歳、母は67歳。親子以上に親密な関係にもみえる。

 もともとはノラだったにゃんこはネズミをくわえてくる野性味もあったが、今では腹のタプタプした家猫ちゃんだ。

「にゃんこ」なんて適当な名前をつけられて10年。にゃんこの歴史は母の歴史ではないか。

 母がフルタイム勤務の時も、孫の世話で私の家に入り浸ってくれていた時も、祖母を遠距離介護していた時も、母の家にはいつもにゃんこがいた。

 一度、にゃんこが脱走してしまったことがある。母が帰宅したら、いつもは気を付けているベランダの窓が開いていて、にゃんこがいなかった。

 あの時の母の落ち込みようは忘れられない。母は涙を見せるでもなく、呆然と「かわいそうなことをした」と言っていた。

 ペット不可のマンションで猫を捜す母の姿は奇妙だったろう。夜中の12時ごろ、ついに連れ戻した。母は今でもその時のことをにゃんこに言い聞かせている。家から出たらダメだよ、と。

 そんなにゃんこが昨年秋ごろから餌をあまり食べなくなった。5キロ近くあった体重が3キロを切るまでになってしまった。1回8千円の点滴をしながら、母は落ち着かない日々を過ごしている。

 人も環境も変わっていく。変わっていないようにみえたにゃんこも変わる。老いを受け入れ、受け止めていく勇気をもたねばと思う。にゃんこ、母と共に老いをやわらかく生きてほしい。

(岡田絵理さん/東京都/42歳/パート)

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(更新 2021/1/28 )


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