クロスケ(山口さん提供)
クロスケ(山口さん提供)

 2年前、黒の子ネコがわが家にやって来た。高校生だった娘が通学中に保護したのである。やせほそった母親のそばで、ニャーニャーと鳴いていたそうだ。娘はコンビニで小さな段ボール箱をもらい、家に連れて帰った。

 ネコに詳しい長女のアドバイスに従い、動物病院の先生の診察をすぐに受けた。腸に虫が寄生して皮膚にノミがいるとのこと。

 娘はその雄の子ネコをクロスケと名づけ、結婚して家を出た長女の部屋に隔離した。翌日から、弱々しい子ネコの声が部屋から聞こえてきた。

 娘はつきっきりで薬を飲ませ、櫛で毛をすいてノミをとった。お通じの中にサナダムシを発見した時には悲鳴が聞こえた。そしてまるで母ネコのように添い寝もした。そんな世話の甲斐あって、クロスケはみるみる回復してみんなにお目見えすることになった。

 先輩ネコのビビとダイゴに圧倒されて、最初は小さく萎縮していたクロスケも、4カ月もたつと、先輩ネコを追い回しプロレスを挑むまでヤンチャになった。

 野良経験のあるクロスケは、ゴミ箱あさりや流しのタンクの生ゴミを食べたり。また、最近はお米の袋に穴を開け生米を食べたり、油をなめて次の日は油酔いでぐったりとしたり。とにかくキッチンが大好きだ。

 まだまだ遊び盛りで、小さなボールやペットボトルのふたで、クロちゃんはひとりサッカーをよくしている。写真のように荷ひもの綱引きも大好きで、その時は怖い表情となりドスの利いた声でウーとうなる。

 僕と家内は彼をクロちゃんと呼ぶ。食いしん坊で、娘が決めた時間に「お前たちご飯」と呼ぶと、他の2匹と一緒に集合する。

 やんちゃなクロちゃん、兄弟のような先輩ネコといつまでも仲良くね。

(山口和彦さん 千葉県/66歳/理学療法士)

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